研究課題/領域番号 |
19K15202
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館 |
研究代表者 |
本橋 仁 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 研究員 (00707698)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 建築史 / 文化財建造物 / 郷土資料館 / 博物館 / 展示 / 日本近代建築史 / 民家 / 床の間 / 礼法 / 建築保存 / 展示デザイン / 国土開発 / 地域資料 |
研究開始時の研究の概要 |
建築の展覧会が盛んになりつつある昨今において、建築を実物大で再現した展示が話題を呼んでいる。一方、こうした実物大による建築を展示すること自体、すでに全国の「郷土資料館」で民家の移築や洋風建築の再利用といった形で実現されてきた。そこで本研究では、このような地域の記憶のよりしろ(Denkmal)とでもいうような郷土資料館に付随した建築を対象に調査をおこなう。 郷土資料館の建設が一気に進められた高度経済成長の時代に、民家・洋風建築はどのような背景で残され/展示されてきたのだろうか。そうした経緯を調査することで、日本における建築を展示することの歴史的な変遷を、展示というキーワードを切り口に把握する。
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研究成果の概要 |
2019年は宮城県仙台市・高知県馬路村、2021年度は埼玉県本庄市の協力により詳細調査の機会を得た。いずれも70年代後半の開館で取り壊しの危機の中、保存の機運が高まりと資料館のニーズとのマッチングがはかられ、予算化されたものであった。70年代は日本建築学会が、明治以後の近代建築の全国緊急調査を行った時期にあたる。また昭和52(1977)年の「均衡ある発展」を掲げた第三次全国総合開発計画で地方の文化施設の必要性が説かれた時代にも重なる。展示施設という教育的機能と歴史的建造物という文化財保護との相互メリットのある郷土資料館という方法が70年代にいかに具体化されたかの実際を調査より得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
最新の社会教育調査(平成30年度実施)によれば、全国で博物館施設は5,738館存在する。そのうち3,328館が歴史を扱う博物館である。また博物館のうち学芸員を有する必要のない博物館類似施設は、その86%の4,452施設に及ぶ。こうした傾向を見ると郷土資料館の多くは博物館類似施設に該当する施設であると想定される。こうした博物館類似施設は、展示を更新や長期的運営の困難さ、社会的課題として指摘される。展示施設という教育的機能と歴史的建造物を残すという文化財保護との相乗的な効果の期待できる郷土資料館のあり方についてその建設当初の理念を再評価し、郷土資料館というストックの再評価を行なうことができた。
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