研究課題/領域番号 |
19K15341
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
安川 政宏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (20647309)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2019年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 逆電気透析 / イオン交換膜 / 界面重合 / 膜電位 |
研究開始時の研究の概要 |
海水と淡水が自発的に混合する現象を巧みに利用することで、そこから電気エネルギーを得ることが可能であり、例えば1m3の海水と1m3の河川水を混合した場合は約500Whの電気エネルギーが潜在的に得られる。本研究では電気エネルギーを得るための鍵となる「イオン交換膜」とイオン交換膜を積層した「セルスタック」を開発し、海水/淡水からの発電装置の高出力化・高効率化の検討を行う。イオン交換膜の作製方法として界面重合法と呼ばれる新たな手法を採用することにより、高出力化・高効率化だけではなく低コスト化も意識した研究開発を遂行し、海水/淡水から日本国産の再生可能エネルギーを得ることを目指す。
|
研究実績の概要 |
逆電気透析発電の用途に特化した、低抵抗・高起電力・低コストなイオン交換膜(IEM)を開発すべく、新奇な手法を採用してナノ厚IEMの作製を行った。多孔の支持体上に界面重合処理を施し、芳香族ポリアミド系の薄膜から成る選択分離層を作製することによりIEMを作製して評価を行った。ポリアミド系薄膜の膜厚は1um以下であり、既存IEMと比較して1/100以下の膜厚となるため、膜厚に比例すると考えられる膜抵抗の低減が期待できる。しかしながら一方で、イオン(アニオン・カチオン)の選択透過性を付与することにより逆電気透析発電時の起電力(膜電位)を発生させる必要があるため、本年度はIEM製膜手法と膜電位(φ)の関係を調査した。 表面荷電状態の異なる様々なポリアクリロニトリル(PAN)の多孔膜を支持体として、ポリアミド系の選択分離層を作製したナノ厚IEMを用いて、模擬海水(0.6 M NaCl)と模擬河川水(脱イオン水)の間でφを調査した結果、36~95mVのφが得られた。特にPAN表面が負に帯電している方が高いφとなることが明らかとなった。従来IEMを用いた場合のφの理論値は約75-110mV程度であると予想されるため、今回のφ値は若干低いが、今回の製膜手法では膜コストが半分以下になることを考慮すると十分な値だと考えられる。 一方、イオンの種類がφに与える影響に関しても調査を行った結果、φ(KCl) > φ(NaCl) > φ(CaCl2)となり、一価イオンのみで構成される場合は一価カチオンが選択的に透過しようとするためφが正の値を示し、一方で二価カチオンを含む場合はφが負の値を示した。したがって、ポリアミド系薄膜に含有する負電荷とそれぞれのイオンの選択透過性がφに大きく影響しており、ドナン電位を主とする従来IEMとは異なる機構でφが発生していることが明らかとなった。
|