研究課題/領域番号 |
19K15369
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高原 茉莉 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 助教 (40804563)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 両親媒性ペプチド / イムノリポソーム / 抗体 / 脂質修飾 / 微生物由来トランスグルタミナーゼ / リポソーム |
研究開始時の研究の概要 |
薬物送達においては、薬剤と標的指向部位を組み合わせたがん細胞特異的な抗腫瘍効果の発現が非常に重要である。特に近年、薬剤搭載量の高いリポソームに、標的指向部位となる抗体を係留したイムノリポソームが注目されている。リポソームに抗体を安定に係留するには、抗体への係留部位 (脂質) の導入が有効である。しかし、疎水性の高い脂質を、水溶性の抗体が変性しないように狙った部位で修飾するのは未だに困難で、抗体の機能をフル活用できる脂質修飾技術は未だに確立されていない。そこで本研究では、架橋酵素トランスグルタミナーゼの触媒機能と、その人工基質となる両親媒性脂質化ペプチドを用いて、部位特異的脂質化抗体を創製する。
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研究実績の概要 |
本研究においては、高い薬物搭載量のリポソーム及び標的特異性に優れた抗体の利点を最大限に生かした、抗体を係留したリポソーム (イムノリポソーム) 開発に向けて、微生物由来トランスグルタミナーゼ (MTG) を介した部位特異的に脂質化抗体を合成することである。MTGとは、特定のグルタミン (Q) およびリジン (K) 側鎖間の架橋反応を触媒する酵素である。本年度は、MTG反応を介して抗体へ修飾可能な脂質ペプチド基質の設計を行なった。具体的には、リポソームの係留部位として飽和脂肪酸 (Cn)が、ポリエチレングリコール (PEG) リンカーを介してMTG基質配列に付与された、脂質化ペプチド基質 (Cn-PEG-RHK) を設計した。このRHK基質配列は、塩基性アミノ酸R及びHと隣接することでMTGが認識可能なリジン (K) となり、RHK配列の親水性と飽和脂肪酸の疎水性により両親媒性を示す。さらに昨年度まで用いた脂質化ペプチド基質 (Cn-G3S-RHK) のG3SリンカーをPEGと変更することで抗体とのMTG反応効率の向上を狙った。 抗体用の脂質化ペプチド基質は、乳がん細胞に過剰発現したHer受容体と相互作用するHer2抗体をモデルとしてMTG反応条件の最適化を行なった。抗体はまず脱糖鎖酵素PNGaseFによりMTGが認識可能なグルタミン (Q) を露出させた後、脂質化ペプチド (Cn-PEG-RHKもしくはCn-G3S-RHK) を過剰量添加してMTG反応を行なったところ、Cn-PEG-RHKを添加した場合は抗体への脂質化ペプチドラベルが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に苦戦していた抗体へラベル可能な脂質化ペプチド基質の最適化を達成し、得られた脂質化抗体の精製法も概ね確立したため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた脂質化抗体の脂質修飾率をLC-MSで定量し、脂質修飾サイトまで同定する。脂質化抗体の機能性はHer2過剰発現細胞に作用させて評価する。その後、リポソームと脂質化抗体を相互作用させてイムノリポソームを作成し、物性評価する。
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