研究課題/領域番号 |
19K15373
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山岸 彩奈 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (00778293)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 癌細胞 / 塩化物イオン / 浸潤性 / イオンチャネル / 浸潤能 / 塩素イオンチャネル / 原子間力顕微鏡 / 塩素チャネル |
研究開始時の研究の概要 |
塩素イオンチャネルは塩素イオンの排出によって細胞容積を調節する。これまでに浸潤能が低下したマウス乳癌細胞において塩素イオンチャネルClic1発現量が顕著に低下することを見出した。転移中の癌細胞は狭い隙間を通過する際に細胞が圧縮され内圧が上昇することで移動が阻害されると考えられるが、Clic1は塩素イオンを細胞外に排出することで狭窄された細胞の膨張を緩和し、浸潤を促進すると推察した。そこで本研究では、原子間力顕微鏡AFMのカンチレバーに塩素イオンインジケーター蛍光プローブを修飾し、AFMで外圧を印加した時の細胞外塩素イオンを測定することで、細胞圧縮状態におけるClic1の役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
癌細胞で発現の亢進が確認されている塩化物イオンチャネルClic1は、低浸透圧刺激を加えた際の細胞容積調節に関与している。我々は癌細胞が浸潤時に間隙を通過する際の細胞変形に伴う細胞膜伸展によってClic1が開口し、同イオンを排出することで容積を減少させ、浸潤を促進すると考えた。そこで本研究では、原子間力顕微鏡を用いて癌細胞に外力を印加した際の塩化物イオン排出能評価方法を構築した。その結果、癌浸潤と塩化物イオン排出能には相関性があることを見出し、癌細胞が機械刺激に応答して同イオンを排出する際にClic1が寄与することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在癌診断では、患者から得られる細胞あるいは組織を染色し、癌細胞が含まれるかどうかを確認する細胞診・組織診が用いられている。一方で、染色した細胞の異形や細胞配列を正常細胞あるいは組織と比較することで癌細胞の有無を調べる手法であることから、実際にその細胞が転移しやすいかどうかという悪性度を知ることは出来ない。機械的刺激が誘起する塩化物イオン排出能の測定は、生きた癌細胞の浸潤に関わるチャネルの機能を評価する。従来の手法では得られない浸潤能という情報を、癌の転移や治療薬選択の指標とすることができれば、癌治療において極めて有用であると考えられる。
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