研究課題/領域番号 |
19K15405
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
近藤 裕佑 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (30470397)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ダイヤモンドライクカーボン / a-C:H / 光学薄膜 / プラズマCVD法 / 赤外線 / PECVD / 炭素系薄膜 / 赤外線反射膜 / 非周期構造 / 応力制御 / a-C:H / 構造最適化 / カーボン系薄膜 / プラズマCVD / 赤外線広帯域反射膜 / 非周期光学薄膜 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽光赤外線の広帯域な遮蔽・集光用途や各種の赤外線センサーの高機能化のために、赤外線領域の光学特性を自由に制御できる薄膜コーティング技術が求められている。しかし、既存の赤外線領域の光学材料は耐久性に乏しく、光学定数を自由に制御できる材料がない。そこで、本研究ではこれらの課題をオールカーボン積層膜で解決する。カーボン薄膜は耐久性の高さに加え、成膜条件の調整により光学定数を一定の範囲内で調整することができるという特徴を持つ。しかし通常の光学干渉膜としてカーボンを代替しても光学設計の自由度が低く実用性が低い。そこで新規な非周期・超多層積層構造を用いて実用的な赤外線フィルターを設計し製作を行う。
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研究成果の概要 |
DLC膜の赤外線領域の光学材料への活用のために超多層膜の構造設計プログラムの開発と製膜法を開発した。広帯域反射膜設計の結果、非周期構造やチャープミラー構造でこれらが実現できることが判明した。次に、設計した光学薄膜を実現するための効率的な手法をPIG-PECVD法を用いて開発した。その結果、基板パルスバイアスの制御により光学薄膜として機能する界面が簡便かつ正確に形成できることが判明した。本手法による積層を行ったところ100層超の積層に成功した。一方で応力の蓄積が大きく剥離の課題が見つかった。光学特性の最適化に加えて、製膜条件の調整等による構造全体での応力制御が必要であることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で使用したPECVD装置はDLC業界で広く普及している装置であり、本技術の産業化障壁は低い。材料の観点からも、既存の赤外線光学材料は高コスト、有毒性、低耐久性など産業応用を阻む要素が多い一方で、a-C:H膜にはこうしたデメリットがない。さらに、開発した基板パルスバイアスによる積層構造作製法は簡便な手法にもかかわらず、高精度な積層構造の作製に適し、構造の自由度が高い。したがって、今後、自動運転の普及などで市場規模拡大が確実視されている赤外線産業で使用する高機能光学フィルタへの活用が期待できる。本研究成果はDLCの用途探索にとどまらず、赤外線産業への本格参入の契機となるものと考える。
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