研究課題/領域番号 |
19K15425
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28050:ナノマイクロシステム関連
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研究機関 | 大阪府立大学 (2020-2021) 同志社大学 (2019) |
研究代表者 |
沖田 愛利香 (名和 愛利香) 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60803161)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アクティブマター / ソフトマター / コロイド / ベシクル / pH勾配 / 化学走性 / 自律運動 / 等温系 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の化学プロセスがシステムの維持のためにマクロなポテンシャル勾配を必要とするのに対し、生物は等温系で化学反応から直接仕事を得て機能している。本研究では、等温系において化学走性機能を持つ分子集合体システムの創製にとって必要最小限の物理的要素の解明を目指す。そのモデル系として低pH領域に向かう両親媒性分子集合体を簡単な人工系で構築し、数理モデルを用いて化学走性が能動輸送機能に与える影響を検討する。また、分子集合体の周囲のpH勾配やpHを独立に変えることで、pH勾配下における分子集合体の自律運動に必要な駆動力の熱力学的な発生機構を理解する。このように、化学走性機能の解明と応用への知見を得る。
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研究成果の概要 |
ミクロスケールでの物質の能動的輸送を目的とし、輸送のキャリアとして酸性溶液に可溶なカチオン性界面活性剤から成るベシクルや2種類の高分子水溶液の二相分離によって形成される水中水滴とカチオン性界面活性剤の複合体を作製しpH勾配下における挙動を観察したところpH勾配に沿うような指向性を伴う変形や移動が観察された。これらの運動はキャリアの前後における界面張力差を駆動力としていることが示唆された。指向性を踏まえて数理的にキャリアの運動モデルをたて、1方向への移動強度を1割程度増加させると、ランダムに移動するキャリアと比較して到達時間が2~10倍程度短縮されることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ミクロな物体の周囲に生じた化学的性質の揺らぎ(濃度勾配など)によって引き起こされる物体の指向的な変形や移動による物質の能動的輸送を実現するために必要な知見として、輸送キャリアの普遍的な物理化学的特徴や作製のための方法論の獲得につながった。このような研究は今後、生体内などのミクロなスケールにおける物質の送達や回収を目的とした研究につながると考えられる。
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