研究課題/領域番号 |
19K15437
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
笠谷 雄一 日本大学, 理工学部, 研究員 (30836507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 磁化緩和機構 / ダンピング定数 / 強磁性共鳴 / 磁気光学効果 / 電界効果 / 異常ネルンスト効果 / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
磁化(電子スピン)を情報伝達に利用するスピントロニクスデバイスの高性能化に向けて、磁性体中での磁化の緩和機構を制御することが必要不可欠である。本研究では、磁化緩和機構を特徴づけるダンピング定数の、材料やデバイス構造などによる決定論的な制御ではなく、ゲート電圧による能動的・系統的制御を目指す。超短パルスレーザーを用いた超高時間分解磁気光学測定による実空間における磁化挙動の追跡と、コプレーナ導波路を用いた強磁性共鳴法による周波数領域でのダンピング定数の精密測定により、磁化緩和機構における電界効果の影響を多角的に究明する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、電圧などの外部パラメータによる磁化緩和機構の能動的変化である。強磁性共鳴測定系、試料電圧印加可能な時間分解磁気光学測定系および成膜装置の新規立ち上げを行った。測定可能範囲での電圧印加では磁化緩和機構の明確な変調は見られず、試料構造と電界強度が重要であると考えられる。成膜装置故障のため当初の予定を変更し、希土類―遷移金属合金フェリ磁性体における熱磁気効果について実験検討した。Gd-Fe合金薄膜に温度勾配を与え、それに垂直な方向の電圧を測定した結果、広範囲の合金組成で異常ネルンスト効果が生じることを示し、その大きさおよび極性が優勢副格子磁化による組成依存性を持つことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた成果の学術的意義は、時間領域と周波数領域の両方の観点から磁化緩和機構を複合的に捉え、変化中の過渡状態と結果としてのパラメータ変化から電子状態と磁化緩和機構の関係に深くアプローチすることを可能にした。また、広範な合金組成の希土類―遷移金属合金フェリ磁性体で異常ネルンスト効果が生じ、その大きさや極性の組成・温度依存性を示した。社会的意義としては、磁化緩和機構の能動的制御指針を示すことでデバイス応用への可能性を見出した。さらに、近年注目されている熱磁気効果をデバイス応用する上で、希土類―遷移金属フェリ磁性体を用いることによって比較的容易な特性制御の可能性を示したと言える。
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