研究課題/領域番号 |
19K15460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 (2021) 横浜国立大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
金島 圭佑 兵庫県立大学, 理学研究科, 助教 (30804025)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 高強度場物理 / アト秒光科学 / 超高速分光 / 光異性化 / 高次高調波 / 高次高調波分光 |
研究開始時の研究の概要 |
高強度超短パルスレーザー技術の発展によって可能となった時間分解高次高調波分光法(TR-HHS) は,高い時間分解能と空間分解能を併せ持つ強力な分光手法である.本研究では,TR-HHSの更なる高度化を図り,超高速光化学反応を解明するための汎用な手法として成熟させることを試みる.TR-HHSはサンプルの状態変化に敏感であると同時に,実験条件のゆらぎに対しても敏感であるため,信号対雑音比(S/N比)のよい測定が難しいという欠点がある.そこで,高調波の次数ごとの応答を同時に,かつS/Nよく取得するためのマルチチャンネルロックイン検出システムの開発を行う.
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研究成果の概要 |
高強度超短パルスレーザー技術の発展によって可能となった「時間分解高次高調波分光法」は、高い時間分解能と空間分解能を併せ持つ強力な分光手法である。本研究の目的は、時間分解高次高調波分光法の更なる高度化を図り、超高速光化学反応を解明するための汎用な手法として成熟させることであった。 本研究の主な成果は次の2点である:①時間分解高次高調波分光法により、環状有機分子1,3-cyclohexadieneの光開環ダイナミクスを観測し、その過程を明らかにした。②2種類の異なる希ガスを混合した媒質を用いた円偏光高次高調波発生を通じて、円偏光高次高調波の位相特性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において、分子の電子励起状態の緩和ダイナミクスを、高次高調波の位相変化を通じて観測することができた。光異性化反応の解明にあたって、分子が変形する以前の電子励起状態の観測は極めて重要である。光励起直後の電子励起状態から、分子が振動・変形していく様子を時間分解高次高調波分光で捉えられたことは、超高速光化学反応の解明における重要な一歩となった。 また、円偏光高次高調波発生は、紫外~軟X線領域において円偏光アト秒パルス光の発生を可能とする技術であり、スピン・磁性の時間分解分光研究において今後重要な役割を果たすと考えられる。本研究で円偏光高次高調波の位相特性を明らかにできたことは意義深い。
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