研究課題/領域番号 |
19K15486
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大友 陽子 北海道大学, 工学研究院, 助教 (80612902)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Banded Iron Formation / Great Oxidation Event / Cyanobacteria / Iron-oxidizing Bacteria / Graphene / グラフェン / 太古代 / 地殻内流体 / 初期地球 / Organic matter / Origin of life / Moodies Group / Barberton / バーバトン緑色岩帯 / 大酸化イベント / 縞状鉄鉱層 / 生命の起源 / シアノバクテリア / 鉄酸化細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
縞状鉄鉱層は鉄鉱石供給の90%を占める重要な資源であり、その形成プロセスには微生物活動が関わっていたとされているが未だ不明な点が多い。本研究では32億年前の縞状鉄鉱層から有機炭素の採取を行い、形状・サイズ分布から鉄鉱層堆積時に支配的であった微生物種に制約を与える。また有機炭素の酸耐性評価、フーリエ変換赤外分光・顕微ラマン分光による構造解析、窒素同位体分析から微生物種を同定する。これらのデータと鉄鉱層の堆積場モデルより、縞状鉄鉱層形成に関与した微生物及び共生微生物相を明らかにする。本申請は縞状鉄鉱層の形成プロセスに迫る新たな試みであり、鉄沈殿を引き起こした微生物の直接証拠を初めて明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は32億年前BIFに含まれる有機炭素の微細構造観察、顕微分光・同位体分析から、大酸化イベント以前の鉄酸化に関与した微生物とその共生微生物を同定することである。マイクロサンプリング及び酸処理によりBIFから抽出された炭素質物質の形態観察から、約24億年前の大酸化イベント以前に複数の微生物種が繁茂しており、各微生物群集は鉄鉱層の形成環境の変化とともに変動していたことが示唆された。また炭素質物質の内部は微化石様組織を残しておらず、微粒子を薄膜で包有した特異な微細組織とグラフェン構造を持つことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一般に太古代炭素質物質は変質を受けており、形態から起源を同定することは難しい。本研究では炭素質物質の形態観察と岩石タイプの相関から、微生物種の変動を示唆する情報を得ることに成功した。また本研究の炭素質物質はグラフェン構造を含んでいた。グラフェンは工業的には化学気相成長か全合成により生成されており、天然の岩石からの発見例はない。本研究の炭素質物質の変成温度は300度程度で既存の工業的生成条件とは異なる。続成・変成の過程で特殊な有機分子溶存流体からグラフェンが生成するという現象は太古代特有の地球表層炭素循環を理解する手がかりとなるほか、工業的なグラフェン製造法に示唆を与える可能性がある。
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