研究課題/領域番号 |
19K15488
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高須 大輝 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00833922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 化学蓄熱 / 低温排熱回収 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では錯体配位子制御を利用した、化学蓄熱材料の開発を研究目的とする。化学蓄熱は優れたエネルギー変換・貯蔵技術の一つであり、幅広い応用が期待されている。しかし、化学蓄熱の実用化を目指す上で、材料の乏しい反応性と繰り返し反応耐久性に課題が残されており、抜本的な改善が求められている。本研究では材料とする金属錯体の配位子を制御することで、その結晶安定性を変化させ、材料の反応特性改善を行う。本研究手法は配位子や金属の多種多様な組み合わせが可能であることや、低原子番号の配位子を用いることで高い蓄熱密度を実現可能であることから、化学蓄熱材料の体系的かつ革新的な開発手法となり得る。
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研究実績の概要 |
化学蓄熱の実用化を目指す上で、材料の低い反応性や長時間の繰り返し反応耐久性等に課題が残されている。この問題解決のため、これまでの研究開発では、材料形状や粒子径、導入担体、添加剤の検討等が盛んに行われてきた。しかし、十分に材料特性が改善されてきたとは言い難く、抜本的な改善が必要である。そこで、本研究では錯体配位子制御を利用した、化学蓄熱材料の反応特性改善を実現し、新規化学蓄熱材料の開発を目指す。 昨年度から継続して塩化カルシウム及び塩化マグネシウムを用いて、アンモニア吸収・脱離反応の基本的反応特性の評価を実施した。前年度検討した前処理条件を元に両材料について各温度や圧力下での基本的反応特性の評価を実施し、化学蓄熱材料として基礎的なデータを得た。特に塩化マグネシウムについては100度付近で優れたアンモニア吸収特性を有することが確認され、その繰り返し耐久性試験についても検討を行った。繰り返し反応においては膨張収縮を抑制する点に課題があったが、添加剤を用いることで一定の効果を確認することに成功した。異種配位子の導入については、塩化カルシウムに対して検討を行った。異なる配位子導入を実施するに際し、複数のガス種を供給可能なシステムを示差熱分析に導入した。検討例の少ないアルコールについて基礎的な導入試験を行い、各条件下における塩化カルシウムへの導入量の評価を行った。得られた結果を元に今後配位子導入による塩化カルシウム材料の化学蓄熱材料としての評価を今後進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
塩化マグネシウムを用いた際に課題となっていた、反応による材料の膨張抑制に対し一定の効果を得ることができた。本手法はその他の塩化物系材料にも応用が期待できる。 異なる配位子導入のために、新たに示差熱分析に対しガス供給装置を組み上げて接続した。適切な量の供給ガスを制御することが確認され、塩化カルシウムに対して異なる配位子導入の条件を得ることに成功している。これらの適切な組み合わせや導入量については引き続き検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
塩化マグネシウムに関しては、繰り返し反応に伴う膨張収縮の抑制について一定の成果が得られている。この点について今後は化学蓄熱材料としての性能最適化検討を進める予定である。塩化カルシウムについては既にいくつかの配位子導入に成功しており、反応性評価も一部であるが成果を得ている。今後、反応活性が見られたものについてはその反応活性化の機構解明を引続き実施し、配位子導入条件が得られているものについては導入による反応性への影響について検討を行う。
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