研究課題/領域番号 |
19K15498
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (2020-2021) 東京大学 (2019) |
研究代表者 |
廣井 卓思 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 若手国際研究センター, ICYS研究員 (20754964)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 電子衝撃イオン化 / 電子状態 / 強光子場科学 / 光ドレスト効果 / 電子軌道 / コインシデンス計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、電子雲の変形という観点で捉えられてきた光ドレスト効果の研究をさらに進め、強い光によって引き起こされる様々な現象の初期過程の理解を深めるために重要な、電子雲を構成する各電子軌道についての光ドレスト効果を観測し、その効果を定量的に明らかにすることを目的とする。そのために、既報の装置と比較して桁違いに高い捕集効率・エネルギー分解能を持つ装置を自作し、得られた微分散乱断面積を再現できる理論の定式化及び計算を行う。
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研究成果の概要 |
電子軌道選択的な光ドレスト状態を観測するために、2台の角度分解飛行時間型電子分析器を用いて、強光子場中で起こる電子衝撃イオン化過程であるレーザーアシステッド電子衝撃イオン化過程(LA(e, 2e))を観測する装置を開発し、Arの1光子吸収LA(e, 2e)過程を実験的に観測した。得られたLA(e, 2e)の散乱断面積は、Arと光の相互作用を無視して計算されたLA(e, 2e) 信号の強度と比較して約2 倍大きくなっていた。これはArの3p軌道が、強光子場による光ドレスト効果によってより高い電子励起状態と混合していることを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、電子密度分布の歪みとして捉えられてきた光ドレスト状態を、電子密度分布を構成する個々の電子波動関数の歪みとして実験的に観測できることが示された。電子衝撃イオン化は原子や分子の電子波動関数を実験的に観測する手法としても知られているため、本手法を用いることによって、高強度レーザー場中における原子や分子の波動関数の観測が可能になると考えられる。さらに発展させ、強光子場中における分子や光誘起化学反応中の系の複数の電子波動関数を決定することによって、イオン化や化学反応の高精度な設計・制御につながると期待される。
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