研究課題/領域番号 |
19K15501
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
春田 直毅 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 特定助教 (90784009)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 縮退 / 力学的対称性 / 数理化学 / 密度汎関数理論 / 金属クラスター |
研究開始時の研究の概要 |
縮退及び擬縮退は、高い導電性や磁性の原因となることから、電子材料設計の鍵とされている。縮退とは対称性に由来して複数の電子状態が同じエネルギーを有すること、擬縮退は偶発的に起こる擬似的な縮退を指す。本研究代表者は最近、特定の金属元素からなる四面体型クラスターが、球対称の縮退をも超える異常な縮退度の擬縮退(超縮退)をなすことを示し、その原因が力学的対称性と呼ばれる特殊な対称性にあることを突き止めた。本研究では、力学的対称性を軸とした高次の対称性理論を構築することで、偶然でしかなかった超縮退を必然のものとし、既存物質の限界を超える次世代電子材料設計への道を拓く。
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研究成果の概要 |
多原子クラスターの形状ごとの軌道の分裂やシフトに基づく新たなシェルモデルを構築した。この理論モデルにより、様々な安定クラスターの予測が可能になるとともに、それらがある特定の周期律に従うことが明らかとなった。また、四面体型クラスターの研究 [Nat. Commun. 9, 3758 (2018)] と同様の方法論を用いて、新たなタイプの超縮退物質を見つけることに成功した。この中には非四面体型クラスターX8が含まれるほか、2次元などの低次元物質も存在する。こうした一連の超縮退物質に対するリー代数を用いた数理的アプローチにも着手し、その起源が明らかになりつつある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回見出したクラスターの周期律は、元素よりも高次の物質における基本原理を明らかにしたものであり、メンデレーエフの元素周期表とも比肩しうる成果と考えられる。またこれは基礎的に重要なだけでなく、クラスター材料の自在設計につながるという意味で応用的にも重要である。特に、超縮退を発現するクラスターは、電気伝導性や磁性など、縮退度の制御が鍵となる電子物性分野で多大なインパクトを与えるものと考えられる。
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