研究課題/領域番号 |
19K15509
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
浅見 祐也 学習院大学, 理学部, 助教 (00726078)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 気相 / 共鳴ラマン散乱 / ヘムタンパク質 / 紫外-可視 / 赤外レーザー蒸発 / 液滴 / 分子線 / 量子化学計算 / 共鳴ラマン / Soret帯 / 深紫外 / 深紫外励起 / 共鳴ラマン分光 / 深紫外光分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はこれまでに開発した液滴分子線赤外レーザー蒸発法を用いた気相共鳴ラマン分光法を改良し、より高分解能で且つ深紫外領域でのスペクトル測定を可能にする。具体的には、高分解能のCCD分光器を新たに導入し、幅広い波長領域で迅速な共鳴ラマンスペクトル測定を実現する。これにより、標的とするヘムタンパク質の二次構造、ヘム構造、芳香族アミノ酸周囲の部分構造を孤立気相状態で明らかにする。このことは、近年注目を集めている分子標的医薬の発展に大きく貢献できる可能性を秘めており、物理化学の枠を超えて、生物・薬学・医学分野への波及効果は極めて大きい。
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研究成果の概要 |
本研究では、最近開発した液滴分子線赤外レーザー蒸発気相共鳴ラマン分光装置に改良を加え、深紫外から可視光励起での高分解能のスペクトルを短時間で測定することを目指した。まずポリクロメータとCCD検出器を導入してミオグロビンヘムの気相共鳴ラマンスペクトルの高速測定を試みたが、実験条件を最適化しても顕著な信号は観測できなかった。そこで、分光器をモノクロメータに戻して、検出器のみ光電子増倍管からCCDに変更することでこのミオグロビンヘムだけでなく、シトクロムcの気相共鳴スペクトルを迅速に測定することにも成功した。しかし依然として信号強度が弱いため、励起波長の最適化など今後更なる条件検討が必要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究でCCD検出器を導入して、気相共鳴スペクトルの測定時間を従来の1/10程度に削減できた。この成果はタンパク質構造を高速に測定できる新たなアプローチを開発した点で一つのブレイクスルーであると考えられる。またシトクロムcの共鳴条件を模索するために測定した光解離スペクトルの測定から、室温でのシトクロムcヘム鉄の電子スピン状態がこれまで一般的に知られてきた低スピン状態ではなく、中間状態であることが明らかになった。このことは、金属タンパク質の電子スピン状態を室温条件で決定するためには、従来の極低温条件でのESR測定では不十分であること意味手しており、本手法の有効性を示唆する結果と考えられる。
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