研究課題/領域番号 |
19K15514
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
橋谷田 俊 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 基礎科学特別研究員 (40805454)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | キラリティ / プラズモン / 円二色性 / 円偏光発光 / 近接場光 / 偏光計測 / 表面増強分光法 / 光圧 / 金属ナノ構造 / キラル分子 / Jones行列 / 円偏光蛍光 / 光学活性 / ナノイメージング / ナノ物質 / 近接場 / 光ピンセット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,これまでに我々が実験で見出したアキラルな(キラルでない)金属ナノ構造が発生する「制御可能な強くねじれた光」を極限利用することで,極微量のキラル分子の検出・分析が可能であることを実証する。光の極限利用のために,プラズモン光ピンセットを用いて強くねじれた光が発生する領域にキラル分子を捕捉し,強くねじれた光とキラル分子の相互作用効率を極限まで高める。本研究が完成すれば,極微量のキラル分子の分光分析が可能になり,分析対象が溶液中のキラル分子から気体中のキラル分子まで広がる。その結果,例えば衣服等に付着した微量の病原体(ウイルス等)を検出するデバイスが開発でき,防疫に大いに貢献する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は,金属ナノ構造が創るキラル近接場光がキラル分子の高感度検出において重要な要因であることを示し,光圧を利用することで更なる感度向上を実証することである。キラル分子の検出は,共存系するナノ構造と分子の組み合わせによってキラル電磁応答が異なることを利用する。本研究では,キラル近接場光が媒介するナノ構造のプラズモンモード間の相互作用が,共存するキラル分子によって変調されることによって,系のキラル電磁応答が変化することを理論計算で見出した。また,キラル近接場光とキラル分子の相互作用が強く反映されるナノ構造の発光を検出することで,キラル分子の検出感度が向上することに実験で成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義: ナノスケールでの光と物質のキラルな相互作用を理解することは基礎物理から分析化学・生物化学まで様々な分野で重要である。本研究で我々は,非共鳴条件下でのキラル分子とキラル近接場光の相互作用が,ナノ構造のプラズモン-プラズモン相互作用に変調を加えることで,ナノ構造のキラル電磁応答(光散乱・発光)に変化を誘起することを明らかにした。 社会的意義: 本研究で我々が得た知見を活かして金属ナノ構造体の幾何構造や計測系をデザインすれば,キラル分子の検出感度を更に向上できる可能性がある。これにより,キラル分子が関係する疾患(ウイルス感染症やアルツハイマー病変等)の早期検出法の開発が期待できる。
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