研究課題/領域番号 |
19K15522
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
藤村 卓也 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (80757063)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | S2発光 / Kasha則 / 高次励起状態 / ポルフィリン / 層状化合物 / 粘土鉱物 / 有機-無機複合体 / フタロシアニン / 無機ナノシート |
研究開始時の研究の概要 |
高次励起状態にある分子は高い酸化還元電位を有するため,高エネルギーな光化学反応の実現が期待できる.しかしその寿命は極めて短いため,効率的な利用は難しい.本研究では分子内の回転・振動運動を抑制し,高次励起状態の長寿命化を目指すとともに,高次励起状態を利用した光化学反応について検討する.これらを達成するため,無機ナノシート表面・層間を分子内の回転・振動運動を抑制する場として利用する.
|
研究成果の概要 |
高次励起状態にある分子はKasha則に従い、速やかに最低励起状態まで失活する。そのためその寿命は極めて短く、特例をのぞいて発光や光反応効率は低い。本研究では平滑なナノシート表面が分子内運動・内部転換を抑制する"場"として機能しうると考え、これを用いた分子の高次励起状態の長寿命化・発光増強を目指した。 ナノシート表面において金属ポルフィリンのS2発光増強およびS2状態の長寿命化に成功し、この効果はS2状態の内部転換の抑制によるものであることを明らかとした。また当該効果はポルフィリンの対称性とある程度の相関関係があり、対称性が高い金属ポルフィリンにおいて顕著なS2発光増強効果が現れることを見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高次励起状態(紫外光など波長が短く、大きなエネルギーの光を吸収した状態)は独特な光反応を実現できる一方で、その寿命が短く利用が難しい。これを打破するために分子の設計等による解決が試みられているが、本研究では『分子を変更せず、分子が存在する“場”(固体表面)により長寿命化する』ことに成功した。依然として課題があるものの、当該技術は高次励起状態を長寿命化する汎用的技術となるポテンシャルを有しており、高次励起状態を利用した光反応の高効率化や光エネルギーの有効利用に資するものであると見込まれる。
|