研究課題/領域番号 |
19K15528
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石垣 侑祐 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (60776475)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 高歪化合物 / 酸化還元系 / 応答性分子 / ジカチオン / 光異性化 / 熱異性化 / X線結晶構造解析 / 構造有機化学 / ジラジカル / 異性化 / 七員環構造 / 光-熱異性化 / エレクトロクロミズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究に先立って見出した1.8Åを超えるC-C単結合(超結合)は,その極限状態ゆえに弱いエネルギーでも伸縮することが明らかとなっている。そこで,七員環構造を鍵とするその分子構造に着目し,『A. 電子的特性がC-C単結合長に与える影響の解明』,『B. 光-熱定量的異性化に基づく酸化特性のON/OFFスイッチング』,『C. 熱/溶媒/機械刺激応答系の創出:ヘテロ原子への展開』の三つの課題に取り組む計画である。本研究は,基礎研究と応用研究の双方に寄与すべく,緻密にデザインされた高歪化合物により実現されるものである。
|
研究成果の概要 |
本研究では,標準値から逸脱した構造パラメータを示す高度に歪んだ化合物に着目し,通常の分子ではもち得ない特異な構造及び機能の発現を目指して研究を展開した。 具体的には,極度に伸長した炭素-炭素単結合が光/熱刺激に対して可逆的に収縮/伸長する柔軟性を示すことを明らかにした。また,通常は平面構造をとる炭素=炭素二重結合へ歪みを付与することで,異性体間の酸化電位の違いを利用した酸化特性の完全スイッチングに加えて,加熱/冷却による分子構造変化に基づく物性制御を実現した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
共有結合は有機分子の基礎となる概念であり,結合長や結合角は通常決まった値を示す。一方,高度に歪んだ分子では標準値から逸脱した結合長をもち,それにより特異な性質が発現すると考えられてきたが,歪みによる不安定性のため,極限状態の結合をもつ分子の合成は困難であった。 本研究では,独自の分子設計により究極的に伸長した炭素-炭素単結合の柔軟性を発見し,その設計指針を単結合から二重結合へと拡張することで,構造及び物性の自在な制御を実現した。これらの成果は,有機化学分野で新たな潮流を示すものである。本研究成果は,共有結合の理解の深化に重要な知見を与え,持続可能な社会の実現に向けた足掛かりになると期待される。
|