研究課題/領域番号 |
19K15532
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋山 みどり 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50807055)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | キュバン / フッ素 / フッ素ガス / フッ素化 / 1電子受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
箱型分子であるキュバンが完全にフッ素化されたペルフルオロキュバンは,「内部に電子を閉じこめる」として注目され,理論計算による研究が進んでいる。しかしペルフルオロキュバンの合成は未だ達成されておらず,「電子を閉じこめる」という仮説は実験的に証明されていない。本研究では,申請者らの独自の技術であるフッ素ガスを用いた有機化合物の直接フッ素化を用い,前人未到の箱型分子ペルフルオロキュバンを合成する。この分子が期待どおり電子を閉じこめることを検証し,閉じこめられた電子の性質を解明する。
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研究成果の概要 |
箱型分子キュバンに8つのフッ素が置換した全フッ素化キュバンは,全原子の中で最も電気陰性であるフッ素の影響で,箱の内部に「電子を閉じこめる」と予測されている。この仮説を実証すべく,これまでに達成されていなかった全フッ素化キュバンの合成に取り組んだ。申請者ら独自の技術である,フッ素ガスを用いた直接フッ素化法を用いることで,6つのフッ素をキュバンに一挙に導入でき,続く変換によって全フッ素化キュバンを合成できた。電気化学測定により,フッ素が多く置換するほど電子親和性が上がることを見出し,全フッ素化キュバンが「電子を閉じ込める箱」として働く可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の最も大きな意義は,電子を安定化する新たな仕組みの実現である。これまで理論研究に提唱されていた仕組みを,実際に分子を合成して実現した点において意義がある。 また,これまで困難であったペルフルオロキュバンの合成手法を確立した点においても意義深い。本研究では基礎的な物性に着目したが,それ以外にも多様な応用が考えられる。例えば,キュバンはベンゼンの生物学的等価体であると提唱されていることから,ペルフルオロキュバンが創薬化学分野において新たなビルディングブロックになりうる。剛直でありながら光を吸収しない構造であるため,熱・光耐性の高分子材料の開発にもつながると考えられる。
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