研究課題/領域番号 |
19K15538
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
荒巻 吉孝 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70779678)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 水素原子移動触媒 / 光触媒 / 分子内一電子移動 / ホウ素 / 一電子移動 / 水素原子引き抜き / 一電子還元 / 一電子移動(SET) / ラジカル / 水素原子移動(HAT) / 酸化還元 / 電荷移動 / 水素原子移動(HAT)反応 / 一電子移動(SET)反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究代表者は一電子移動反応を基軸とした新規触媒開発をしている最中、一電子移動反応が特殊な分子どおしのみではなく、一般的なルイス酸・塩基と思われているような分子間でも起こりうることを発見した。この萌芽的な発見を元に本研究では、一電子ドナーとしてアミド基、アクセプターとしてボリル基を同一分子内にもつ分子を設計、これに光照射をすると分子内一電子移動によりアミジルラジカルが発生し自己活性化型水素原子移動(HAT)触媒として機能することを明らかにし、一電子移動反応を基盤とした新たな触媒設計指針として確立することを目指す。
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研究成果の概要 |
研究課題名にある自己活性化型水素移動触媒の開発を行った。研究計画書に記した当初の分子構造では触媒活性が全く見られなかったが、触媒の母骨格とラジカル活性部位の分子設計を改良することで目的通り光励起による自己活性化型水素触媒の開発に成功した。この触媒を用いると、従来までの手法では光触媒、水素原子移動触媒と二種類の触媒が必要であった反応系に対して、一つの触媒のみで水素原子移動触媒と一電子還元触媒の反応を進行させることが可能となった。またその過程で発見したホウ素化合物とアニリン誘導体下での一電子移動反応の発見とその一電子移動反応機構の解析、触媒的炭素-炭素結合反応への応用を論文として発表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この成果は単に新しい光触媒を合成したというわけではなく、これまで既存の分子の中から光触媒のリード化合物を探し出し、その分子修飾を施すことで反応ごとに最適化をしていくという低分子創薬研究と同様のアプローチがなされた光触媒に対して、光反応の素反応を基軸として触媒分子を構築することができるという新たな設計指針を与えるものであり、今後の有機光触媒化学の発展に新たな方向性を示すものとなると期待している。また、これらの分子は従来型の光触媒で広く用いられていたルテニウムやイリジウムといった遷移金属を用いないという観点からもより環境負荷の小さいクリーンな触媒であるといえる。
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