研究課題/領域番号 |
19K15545
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
山本 拓平 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (40758728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ジスルフィド / 隣接基効果 / 酸化電位 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、タンパク質内電荷移動メカニズムを摸倣した、ジスルフィド基と芳香族環が空間上に並んだ導電性物質を合成する。電気化学測定により得られる酸化電位から、イオン化のしやすさを明らかにし、電子スピン共鳴測定とパルスラジオリシス測定により、一電子酸化後のラジカルカチオン状態を明らかとする。また、これら測定結果と量子化学計算の比較により、中性状態とラジカルカチオン状態の構造を明らかとする。
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研究成果の概要 |
この研究により、ジスルフィド基の新しい物理化学的性質が、2つ明らかとなった。一つ目は、隣接ジスルフィド基の求核性である。これまで、ジスルフィド基が、有機化合物に対して求核性を示すことは知られていなかった。この発見は、これまでにない経路で、硫黄を含んだ化合物を合成できる可能性を示した。 二つ目は、ジスルフィド基が導電性を持つ可能性である。ジスルフィド基は、二面角が90度なので、化学的な常識から、導電性は期待されないが、ジアリールジスルフィド化合物を用いた電気化学的な研究により、両アリールは共役している兆候が見られた。この発見は、ジスルフィド化合物が新しい導電性物質となりえる可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、実用化されている導電性有機物質は、導電性高分子1種類しかない。しかし、導電性高分子は、欠点も多く、将来、バイオナノテクノロジーに応用可能な新しい導電性物質の開発が望まれている。このジスルフィド基の隣接基効果を利用した研究から、全く新しい導電性メカニズムの可能性が見られた。基礎研究におけるこのような発見は、将来的に医学や材料化学など、非常に幅広く影響する学術的にも、社会的にも意義のある研究結果が得られた。
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