研究課題/領域番号 |
19K15548
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
百合野 大雅 北海道大学, 工学研究院, 助教 (20771504)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 不飽和イソニトリル / 求核的イソシアノ化 / ビニルイソニトリル / ホモアリルイソニトリル / プロパルギルイソニトリル / ピロール / ピリジン / 遷移金属触媒 / アンビデント / Pd触媒 / イソシアノ化 / イソニトリル / 環化反応 / ヘテロ環化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、新しい合成素子として不飽和ニトリルの異性体である不飽和イソニトリルに着目し、その効率的合成法の開発と合成反応への応用を目指す。多様な合成素子や高分子のモノマーなどに用いられてきた不飽和にトリルに対し、その位置異性体である不飽和イソニトリルは、より多彩な反応に適用できる可能性を秘めながらその簡便な合成法が存在せず、研究の立ち遅れが目立っていた。申請者は、アリル求電子剤とシアニドとの反応において、それぞれの反応性のコントロールと基質の精密なデザインにより不飽和イソニトリル類を自在に合成する手法の確立、および、本化合物をうまく活用した新奇な有機合成反応の開発にも挑戦する。
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研究成果の概要 |
遷移金属触媒を用いた求核的イソシアノ化反応により、多彩な不飽和イソニトリルを効率的に合成する手法を開発した。脱離基α位に適切な電子求引性官能基を導入したアリル求電子剤に対する求核的イソシアノ化反応では、対応するビニルイソニトリルを良好な収率で得ることができた。得られたビニルイソニトリルは適切な反応条件下、五員環のピロール、六員環のピリジンに円滑に変換できる前駆体として利用可能であった。シクロプロピルメチル求電子剤を用いれば、開環反応を伴ったホモアリル位でのイソシアノ化が進行した。プロパルギル求電子剤も本反応に適用可能であり、対応するプロパルギルイソニトリルを良好な収率で得ることに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
不飽和イソニトリルは多くの独立した反応点を有することから、有用有機化合物を得るために潜在的に有力な出発物質であることは想像に難くない。しかし、実際に用いようとした場合、不安定なイソシアノ基のみならず多彩な反応性を示す不飽和結合が分子内に存在することが足かせとなり、従来の苛烈な条件でのイソニトリル合成法では不可能な化合物が数多く存在した。本研究ではそれらの不飽和イソニトリルの比較的温和な合成法を実現することに成功し、その具体的な利用法を示すことができた。本成果は、今後これらの興味深いイソニトリルを産業における一つの化学資源として用いる上で、安定な供給法とその活用法を見出したものであると言える。
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