研究課題/領域番号 |
19K15561
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中野 遼 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30835731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 金属配位子協働作用 / π-供与性配位子 / 金属配位子協働触媒 / π供与性配位子 / アルカン変換 / 1,2-付加 |
研究開始時の研究の概要 |
持続的な炭素資源の運用法の確立は21世紀の化学者に課せられた最も重要な課題の一つである. 石油や天然ガスに豊富に含まれる低級アルカンは従来燃料として用いられて来たが, 官能基化・高級化によって化学原料へと変換する手法の開発が求められる. 本研究では「アルカンC-Hの金属-ヘテロ原子多重結合への1,2-付加」というこれまで用いられて来なかった素反応に着目し, 安価で豊富に存在する卑金属を触媒としてこれらの反応を行う手法の開発を目指す.
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研究成果の概要 |
本研究では前周期金属で知られるアルカンC-Hの金属-ヘテロ原子多重結合への1,2-付加という素反応に着目し、この素反応の中・後周期遷移金属への適用可能性を検証した。まず、グアニジン部位を有する二座・三座配位子を開発し、Fe・Ru・Co・Rh・Pd等の金属錯体を合成した。この内、Rh錯体について詳細な検討を行い、強塩基によりグアニジンを脱プロトン化することで 金属配位子協働的なC-H活性化が可能であることが重水素ラベリング実験等により明らかになった。また, グアニジン部位のπ電子供与性を利用することでRhでは初となる二酸化炭素とエチレンからの触媒的アクリル酸合成を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
C-H結合の直接的変換反応は、従来多段階で行われていた化学変換を1段階で行う効率的な手法であり、広く研究されている。本研究ではその基礎反応であるC-H切断段階に着目した。前周期遷移金属で知られるアルカンC-Hの金属-ヘテロ原子多重結合を1,2-付加を中後周期遷移金属で実現することで、安価で豊富に存在する卑近金属を用いたC-H結合変換反応に繋がる可能性が期待される。また、本研究で扱った強いπ電子ドナーと後周期遷移金属の組み合わせは比較的未開拓な領域であり、この配位子と金属の電子反発を利用した新たな錯体化学を開拓したことも本研究の学術的意義である。
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