研究課題/領域番号 |
19K15580
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター (2022) 沖縄科学技術大学院大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
山神 光平 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, テニュアトラック研究員 (50823829)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 遷移金属錯体 / 軟X線吸収分光 / 電子状態 / スピンクロスオーバー / 配位子場 / X線吸収分光 |
研究開始時の研究の概要 |
遷移金属錯体において発現する物性は遷移金属イオンの電子状態と極めて密接な関連を持ち、その特徴を引き出すことはデバイスへの応用に際して極めて重要である。スピンクロスオーバー錯体は遷移金属サイトの結晶場効果の変化によってスピン転移の様子が変化することが示唆されており、長年に渡って研究がなされている。近年、元素特異的な実験手法によるエネルギースケールから電子状態と物性の関連を調べる動きが活発化している。 本研究は可視光を組み合わせた軟X線吸収分光を駆使してスピンクロスオーバー錯体の電子状態研究を通じて、遷移金属錯体の物性と電子状態の関連を解明し、錯体の電子構造設計に戦略的指針を与えることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究課題はスピン/分子/光を組み合わせた複合型デバイスとして最も期待されるスピンクロスオーバー(SCO)錯体に注目して、軟X線吸収分光を用いた元素選択的な電子状態を明らかにした。Fe系配位高分子に対するXASから、系の共同効果に起因するSCO転移温度以上のFe 3d結晶場分裂の温度変化の観測に成功した。Co系オクタシアノ錯体のXASから、水和物中の水分子がSCO現象に及ぼす影響を明らかにした。低結晶性配位高分子に対するXASから、配位子場による分子吸脱着特性制御の起源を解明した。本課題によって、従来では困難だった局所構造の対称性と電子状態を観測する手法を構築した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題によって、元素別の局所電子状態の視点から、遷移金属錯体の物性の起源を明らかにする研究手法を確立することに成功した。特に、結晶学的手法を用いた探究が困難であると認識されてきた、低結晶性錯体に対する物性起源の取り組みに軟X線分光という新たな分析方法を示せたことに学術的意義を見出している。一方で、遷移金属元素の電子状態を直接、分析できる軟X線吸収分光を汎用的な化学分析手法として、水素生成触媒や単分子磁石など化学的、物理的性質に富む遷移金属錯体の次世代デバイスの開発に不可欠な基盤技術に昇華することができた点に、大きな社会的意義を見出している。
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