研究課題/領域番号 |
19K15582
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 慧 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80755835)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 光触媒反応 / パラジウム錯体 / ハロゲン化 / 金属ラジカル / 可視光 / 錯体化学 / 有機金属錯体 / メタン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、d8金属錯体の集積体における金属-金属間相互作用を活用した、可視光駆動型C-H結合官能基化反応の開発を目的とする。第一に、集積体の光励起に伴い生成するMMLCT(Metal-Metal-to-Ligand Charge Transfer)励起状態の金属ラジカル性を利用して、有機基質のC-H結合切断反応を行う。第二に、同反応に伴い生成する有機金属種を、複核金属中心の協奏機能を利用して、種々の結合形成反応へと展開する。これら二つの反応を組み合わせることで、メタンのカップリング反応といった多様な不活性C-H結合の官能基化を実現する新しい光触媒サイクルを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、複核d8金属錯体のMMLCT(Metal-Metal-to-Ligand Charge Transfer)励起状態を活用した光触媒的有機分子変換反応の開発を目的とする。これまでに、Half-lantern型二核パラジウム(II)錯体を光触媒として用いる炭化水素類の可視光駆動型C-H結合塩素化反応を見出している。最終年度である2023年度は、種々の実験および量子化学計算に基づき同反応の機構調査を行った。 [1]ベンゾ[h]キノリンのC(sp2)-H結合塩素化反応:触媒サイクルの鍵過程である、二核パラジウム(II)錯体の可視光励起による塩素引き抜き反応について、DFT/TD-DFT法による中間体および遷移状態の解析を行った。この際、窒素雰囲気下ではベンゾ[h]キノリン配位子を有する二核パラジウム(II)錯体の励起三重項状態が、また空気下では同錯体の一電子酸化種が、それぞれ塩素原子を引き抜くと想定した。各々の遷移状態を最適化した結果、いずれの場合も低い活性化エネルギーが計算され、反応が室温で進行することが示唆された。 [2]8-メチルキノリンのC(sp3)-H結合塩素化反応:昨年度実施した条件検討より、本系に光増感剤としてトリスビピリジンルテニウム(II)錯体を添加すると、反応が大幅に促進されることが分かっている。その添加効果について調べた結果、(i)ルテニウム錯体のりん光が8-メチルキノリン配位子を有するパラジウム(II)錯体の添加により消光を受けること、(ii)ルテニウム錯体の励起状態の酸化力はパラジウム(II)錯体を一電子酸化するに十分であること、(iii)より励起エネルギーの高い光増感剤を用いても促進効果が得られなかったことから、本反応では主として光誘起電子移動機構によって反応が促進されることが示唆された。
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