研究課題/領域番号 |
19K15585
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 真人 京都大学, 化学研究所, 助教 (10813545)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 異常高原子価 / カチオン秩序配列 / 酸素脱離 / ペロブスカイト酸化物 / 異常原子価鉄 / Aサイト層状配列 / Bサイト層状 / 選択的酸素脱離 / 異常高原子価鉄 / 酸素イオン脱離 / 層状配列 |
研究開始時の研究の概要 |
遷移金属酸化物における酸素イオンの挿入・脱離は、イオン伝導特性や酸素貯蔵能などの機能特性に強く関係するが、Fe4+などの異常高原子価イオンの価数変化に伴う酸素イオンの挿入・脱離過程が調べられた例はほとんどない。これらの異常高原子価イオンを含む酸化物では、酸素の挿入・脱離が典型的な価数イオンを含む多くの酸化物と比べて非常に低い温度で起こることが期待されるので、その挿入・脱離挙動を理解することは、基礎・応用の両方の観点から非常に重要である。そこで、本研究では、Fe4+を含むペロブスカイト型酸化物の設計・合成から、X線・中性子を用いた結晶構造解析、イオン伝導度測定、等による構造物性評価までを行う。
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研究成果の概要 |
全体を通して、異常高原子価鉄イオンを含む様々な新規ペロブスカイト酸化物を発見し、これらの物質の酸素イオンの脱離過程を含む物性を調べた。実際にいくつかの物質では、200-400 ℃程度という非常に低い温度から酸素脱離が生じ始めることを明らかにした。これは、異常高原子価状態の高い電子不安定性に起因している。また、これらの酸素脱離はAサイトやBサイトのカチオン配列に大きな影響を受けることが分かった。これらの結果は、低温で作動するイオン伝導体等の開発等につながる重要な成果である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、高い発電効率を誇る固体酸化物形燃料電池の500℃以下での使用の需要の高まりとともに、その電解質として低温領域で高イオン伝導率を示す酸化物の開発が求められている。そこで本研究では、200-500℃の低温領域で高イオン伝導率の発現が期待でき、未開拓領域である異常高原子価Feを含むペロブスカイト型酸化物に着目した。高圧合成法などの特殊な合成法を用いることで、異常高原子価Feを含む新規酸化物を発見し、これらの物質の酸素イオンの脱離過程を含む物性を調べた。その結果、異常高原子価鉄イオンを含む酸化物は、典型的な酸化物よりもかなり低い温度で酸素脱離が生じ得ることを実験的に明らかにした。
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