研究課題/領域番号 |
19K15590
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
林 幹大 長崎大学, 教育学部, 助教 (40771225)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 水素結合 / プロトン移動 / 金属錯体 / 分子結晶 / 電子移動 / エネルギー移動 / 超分子シート / 光安定性 / 二次元物質 / カゴメ格子 / 金属ジチオレン錯体 / 多孔性伝導体 / プロトン-電子共役移動 / プロトン―電子共役移動 / 多孔性電子伝導体 |
研究開始時の研究の概要 |
プロトン―電子共役移動(PCET)は生体系のエネルギー変換機構において重要な役割を果たすが、PCETが電気伝導性や磁性、誘電性などの固体物性に与える影響を実験的に明らかとした例は少ない。本研究では、電子とプロトンの授受が可能な分子からなる多孔性の電気伝導体を合成し、結晶構造を保持した状態で伝導体へのプロトン付加、及び水素結合のネットワーク化を施すことで、PCETを示す固体物質の創製を目指す。特に、カゴメ格子を結晶構造として持つ伝導体に着目し、PCETと幾何学的フラストレーションの効果とが拮抗した新現象を探索する。
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研究成果の概要 |
本研究はプロトン親和性d-π混成電子系金属錯体を対象に、プロトン化と酸化過程を分けたトポケミカル的合成法を用いて、プロトンの動きと物理的・化学的性質が連携する固体の創製を目指した。結果、酸化的集積で得たカゴメ多孔性結晶はπ積層に由来する電子相関を示し、細孔へのプロトン導入が分子間電子移動と連動して構造不安定性を招いた。他方、光酸化性プロトンドナーとの混晶化で得たシート結晶は動的プロトンを持つ水素結合を与え、予期せぬ光安定化にプロトン移動と励起エネルギー移動の連動が関わることがわかった。シート結晶の金属種置換は光安定性に影響し、dブロック元素が寄与するプロトン-電子連動の関わる現象が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、π電子系有機分子に留まっていたプロトン-電子連動に基づく物質開発を、d-π混成電子系金属錯体に拡張した。これにより、重点的に開拓されてきたプロトンダイナミクスとπ電子物性の境界研究領域にdブロック元素の寄与が持ち込まれ、新たな研究分野へ発展する可能性がある。また、従来から金属錯体に期待される磁性や低エネルギー光物性、レドックス触媒活性を活かした応用分野と、注目度の高い水素エネルギー分野との親和性が高まり、エネルギー問題解決や高度情報化社会に役立つ分子材料の開発が活発化する可能性を秘める。
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