研究課題/領域番号 |
19K15607
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
有賀 智子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (40784111)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 誘導結合プラズマ質量分析法 / ICP-MS / 炭素増感効果 / マトリクス効果 / 有機溶剤 / 多原子イオン / 酸化物イオン / zone shift / オキソ酸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、半導体洗浄液、医薬品、ナノ粒子材料等の不純物管理及び評価に急速に利用拡大している誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)に関して、同法を用いた有機溶剤中微量元素分析における最大の技術課題である有機溶剤効果(炭素起因の信号増加)のメカニズムを解明し、有機溶剤効果の抑制手法や補正手法の確立に資することを目的とする。 具体的には、従来の有機溶剤効果の評価手法とは異なるプラズマ内信号分布変化に基づく信号増加の評価を行うと共に、プラズマ内における対象元素の原子化・イオン化の過程に対して有機溶剤が及ぼす効果を検証し、有機溶剤効果のメカニズム解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)において、有機溶剤分析の定量性を低下させる要因となっている、有機溶剤による特定の元素の信号増加(有機溶剤効果)がオキソ酸元素(As, Se, P, I)に特異的な現象であることを見出した。また、有機溶剤効果の代表元素としてヒ素(As)を選んで行った詳細な調査から、これまで不明な点が多かったAsの有機溶剤効果のメカニズムに関して以下のようなプロセスを示唆した:有機溶剤由来の炭素がプラズマ内における亜ヒ酸(オキソ酸)の分解を促進しヒ素酸化物イオン(AsO+)が増加した結果、AsO+の分解によって生じるAs+が増加し信号強度が増加した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機溶剤効果は、ICP-MSを用いた有機溶剤分析において精確な定量分析の妨げとなることから、抑制や補正が必要であるものの、その発生メカニズムについては未だ不明な点が多く有効な抑制・補正手法が確立されていないのが現状である。本研究は、研究対象をAsに限定して有機溶剤効果の具体的な発生メカニズムに関する知見を得たが、同様のメカニズムは他の増感元素(Se, P, I)でも推測されることから、本研究成果は有機溶剤効果発生のメカニズムに関して重要な情報を提供した。今後メカニズムの解明がさらに進むことで、有機溶剤効果の有効な抑制・補正手法の確立に繋がることが期待される。
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