研究課題/領域番号 |
19K15624
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 知哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (40783874)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ポリマーブラシ / グラフト / 精密重合法 / 簡易合成 / 表面 / ぬれ / 親水性 / 疎水性 / ぬれ性 / 原子移動ラジカル重合法 / ペイントオン法 / 大面積 / 濡れ性 / 撥水性 / 撥油性 / 防汚性 / 着氷防止 / リビングラジカル重合 / 表面・界面物性 / 高分子合成 / ナノ材料 |
研究開始時の研究の概要 |
高分子合成における重合系の安定化は、精密なポリマー構造を形成するための重要な要素のひとつである。精密ラジカル重合においては、系内の溶存酸素が活性種や触媒を失活させる原因となり、ポリマーの精密性を著しく低下させる。これまで、精密重合によるポリマーブラシの合成は、十分に制御された閉鎖系環境が必要不可欠であることから、実用的な表面処理(量産、大面積)への適用は困難とされてきた。本研究では、生体の代謝経路から着想を得た再生回路を精密ラジカル重合法に組み入れることで、閉鎖系環境を必要とせず、大気中で精密かつ高重合度のポリマーブラシを高効率、大面積で合成できるロバストネスな反応手法を開発する。
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研究成果の概要 |
本研究プロジェクトでは、高分子鎖を基材表面に高密度にグラフトすることで得られる「ポリマーブラシ」を簡易合成できる精密重合法の確立を目的とした。その際に、生体内の反応に強く関与する分子や環境に着目し、種々の添加剤を、既存のポリマーブラシ合成手法に組み込むことを着想した。その結果、従来では有機溶媒を用いて実施されていた疎水性ポリマーブラシの合成系に水を一定量添加することで、短時間で十分厚膜なポリマーブラシが得られることを見出した。また、親水性ポリマーブラシの合成系にチオールと酵素を添加することで、溶液の耐酸素性が向上し、厚膜なポリマーブラシが合成できることも確認できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高分子を表面にグラフトすることで得られる「ポリマーブラシ」は、その構造に起因する特異な表面機能を付与できる新しい表面改質材料として注目されている。しかし、従来の合成法は、酸素による反応阻害のため汎用性に課題があり、身の回りの部素材に直接適用することは困難であった。 本研究では、生体内の環境に着目することで、従来技術では困難なポリマーブラシの簡易合成の実現に繋がる知見を得ることに成功した。 これを活用することで、各種部素材の表面に多様な機能、例えば、はっ水/はつ油性、防汚性、着氷防止機能など、を付与することが容易になるため、新しい高機能実用表面の創製に繋がることが期待できる。
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