研究課題/領域番号 |
19K15634
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
引間 悠太 京都大学, 工学研究科, 助教 (50721362)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 結晶化 / 超高速DSC / POSS / 分散性 / かご型シルセスキオキサン(POSS) / ナノフィラー / 表面修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノサイズのフィラーを高分子に添加したナノコンポジット材料では,高分子とフィラーの界面が豊富に存在するため,フィラー表面の性質が高分子の結晶化や反応過程に影響を及ぼすと考えられる. 本研究では,様々な官能基を有するかご型シルセスキオキサン(POSS)誘導体をモデル的なナノフィラーとし,結晶性高分子に添加した際に高分子の結晶化に与える影響を,超高速DSC法を用いて明らかにする. 特にナノフィラーの界面の影響が現れ,かつ工業的な成形加工条件に相当する,高過冷却度条件における結晶化において,添加効果を詳細に調べ,表面修飾の影響を体系的に明らかにする.
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研究成果の概要 |
本研究では.高分子としてポリプロピレン(PP),ナノフィラーとしてかご型シルセスキオキサン(POSS)を用い,高過冷却度条件下での高分子の結晶化挙動に対するナノフィラー添加効果を超高速DSCを用いて調べた. POSSをPP中に高分散させた試料を作成し,POSSの添加量を変えてその効果を調べた.冷却過程の結晶化挙動を調べると,POSS添加は冷却速度が10℃/s以下のとき結晶化温度を上昇させ,10℃/s以上のときに結晶化温度範囲を広げるという奇妙な効果があることを見出した.またこの原因は,POSSが高温ではPPの結晶化を促進し,低温では遅延するという特異な効果を持つことであると明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではかご型シルセスキオキサン(POSS)をポリプロピレン(PP)に添加することで,PPの結晶化の促進効果と遅延効果の両方を示すことを初めて見出した.またPOSSが温度域によって異なる添加効果を示すことにより,高速冷却時に結晶化が起こる温度範囲を高温側にも低温側にも拡張することがわかった.この結果は,結晶化開始温度を上昇させることによる結晶の緻密化と,結晶化終了温度を低下させることによる成形性の向上という相反する効果を両立するような,新たな添加剤としてPOSSが利用できる可能性があることを示唆している.
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