研究課題/領域番号 |
19K15639
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
高橋 明 神奈川大学, 工学部, 助教 (50815660)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 高分子 / ボラトラン / トリエタノールアミン / ルイス付加体 / 加水分解 / 物質変換 / ホウ酸エステル / ホウ素 / カゴ型ボレート / 機能性高分子 / ラジカル重合 / 有機ホウ素化学 / ボレートエステル / かご構造 / 供与結合 / 高分子機能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、異なる性質を持つ結合の形成や官能基変換を通じた劇的な性質変化を、簡便かつ一元的に誘起しうる分子ユニットとしてかご型ボレートに着目し、その反応性の解明とそれに基づく機能性高分子の創製を目的とする。 ホウ素原子を橋頭位に有するかご型ボレートは、優れたルイス酸性に基づくルイス塩基との強固な供与結合の形成や、カルバニオン種との反応による共有結合形成・イオン化、さらにB-O-C結合の加水分解によるトリオールへの変換も可能と考えられる。 そこで、本研究ではまず低分子系での検討によりかご型ボレートの反応性を定量的に解明した上で、この知見に基づいた新たな機能性高分子の創製手法の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、カゴ状の形をしたホウ酸エステル分子(カゴ型ボレート)を側鎖にもつ高分子の合成・反応性・物性・機能について明らかにした。カゴ型ボレートは剛直な構造とそれに基づく安定性をもつ一方、1段階の単純な化学反応によって柔軟な枝分かれ構造へと選択的かつ可逆的に構造を変化し、それにより高分子の物性を劇的に変化できることが分かった。すなわち、このボレートを高分子に導入することで相反する性質を1つの物質に内包させ、かつシンプルな操作によってその性質を相互に切り替えられることが分かった。以上、カゴ型ボレートが機能性材料開発の新たな基盤となる分子素材になりうることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究が対象としたカゴ型ボレート(ボラトラン)はこれまで高分子化学において全く用いられてこなかった分子であり、本研究はその最初の例となる。ボラトランのように、単純な1段階の化学反応に基づいて高分子の性質を劇的に変化させられる分子は決して多くなく、この性質を起点とした多様な応用研究の展開が見込まれる。また、本研究が確立した物質変換技術は既存の汎用高分子にも容易に適用できることから、適した用途が見出されれば速やかに社会実装可能な点も重要な特徴であり、既に広く普及した高分子材料のさらなる高機能化に貢献することが期待される。
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