研究課題/領域番号 |
19K15680
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
稲本 純一 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (20816087)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リチウムイオン電池 / 正極材料 / 劣化 / 表面 / 正極活物質 / 表面状態 / 劣化解析 / 添加剤 / 表面被膜 / アニオンレドックス / 劣化機構 / 高エネルギー密度正極 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代リチウムイオン電池用の高エネルギー密度正極活物質としてLiNi0.5Mn1.5O4(LNMO)やLiNixCoyMn1-x-yO2(NCM)が期待されている。LNMOは高電位ゆえに電解液が激しく酸化分解する。NCMは充電時に活性酸素が放出され、電解液の化学的酸化を引き起こす。電解液の酸化分解生成物は活物質上に被膜を形成し反応抵抗の増大などをもたらす可能性があるが、それらに関しては従来不明確であった。そこで本研究では表面解析に適した薄膜正極を用い、金属錯体をプローブとした表面状態解析により被膜の形成挙動と以後の電極反応性に与える影響を明らかにし、劣化機構に関する知見を獲得する。
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研究成果の概要 |
次世代リチウムイオン電池の高エネルギー密度正極活物質に特有の表面劣化メカニズムを明らかにすることを目的とし、パルスレーザー堆積法により作製した薄膜電極をモデル電極として種々の表面分析手法を適用し、その表面で起こる劣化現象を調べた。LiNi0.5Mn1.5O4では充放電時に表面に安定な被膜が形成されず、それにより継続的な電解液の酸化分解と遷移金属イオンの溶出が進行し急速な劣化が起こることが明らかとなった。一方でリチウム過剰系層状正極活物質では酸素アニオンの酸化に伴い電解液が化学的に酸化され、これが高電位での電解液の電気化学的酸化と共に起こることで安定な不働態被膜が形成されることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
リチウムイオン電池は輸送機器や社会インフラに広く利用されており、エネルギーの利用効率向上だけでなく、さらなる長寿命化が必要とされている。本研究では高エネルギー密度が期待できる次世代リチウムイオン電池の正極材料の劣化要因を詳細に調べることで、その高エネルギー密度化と長寿命化を同時に達成するための重要な基礎的知見を提供するものである。今回の結果から、正極材料の劣化抑制に重要な因子を明らかにすることができたため、この知見を生かして次世代リチウムイオン電池の長寿命化に貢献できる。
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