研究課題/領域番号 |
19K15738
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
守 次朗 横浜市立大学, 理学部, 助教 (10835143)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 石油分解微生物 / 土壌微生物群集 / メタゲノミクス / 石油分解細菌 / BONCAT / 細菌間コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
石油を構成する多種の炭化水素は急性毒性や発ガン性を有するため、環境中への石油流出は現代における最も深刻な環境汚染の一つである。そこで、石油を分解し環境修復能を持つ土着の微生物群集が関心を集めているが、石油の完全な生分解には複数の微生物種の共存が不可欠であり、その詳しい分解機構は未解明である。本研究では、優れた石油分解能を持ち、高度に選抜された土壌細菌群集をモデルとして用い、微生物生態学分野の最新手法であるBONCAT法により、石油分解の「キープレーヤー」となる細菌種の特定を目指す。この試みにより、微生物による複雑な石油分解機構の解明の一助となるブレークスルーを生み出すことを目指していく。
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研究成果の概要 |
多様な炭化水素種から成る石油の完全な分解には複数の微生物種の共存が必須である。本研究では、優れた石油分解能を持つ独自の土壌細菌コンソーシアム(群集)を研究モデルとして用い、コンソーシアムに含まれる細菌種の中から、石油に含まれる各成分の分解を“先導”するパイオニア細菌種の特定を目指した。 コンソーシアムの各主要細菌種のゲノム解析および培養試験により、芳香族化合物を分解するSphingobium属とアルカンを分解するPseudomonas属の2属が、石油分解を“先導”するパイオニア細菌種として増殖していたことを解明できた。 本研究で得られた研究成果をまとめた論文を計7報、国際学術誌にて発表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
石油の環境中への流出は国際的な問題である。そこで、それらを除去する能力を持つ環境微生物の能力が注目されているが、石油の完全な分解には複数種の微生物の共存が必須である。石油分解能を持つ微生物に関する文献は数多くあるが、その多くは単一種の微生物のみを扱ったものであり、本研究のように、複数種の微生物共同体を用いた石油分解機構の調査は過去の前例が殆ど無い。本研究では、優れた石油分解能を示す土壌細菌群集において、少数のパイオニア細菌が石油分解を“先導”し、共存する他の多数の細菌種がこれらに依存していることを明らかにした。今回得られた知見は将来、微生物を用いた汚染環境浄化の技術開発への応用が期待される。
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