研究課題/領域番号 |
19K15774
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
深谷 睦 城西大学, 薬学部, 助手 (70611812)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 加糖飲料 / フルクトース / 薬物代謝 / 生活習慣病 / エピジェネティクス / 薬物耐性 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
胎児・乳児期の栄養環境は、エピゲノム制御やメタボリックメモリーとして世代を越えて変化を及ぼし(トランスジェネレーション)、成長後の児の疾病リスクとなるとされている。 加糖飲料に含まれる「フルクトース」もトランスジェネレーションが懸念される食品成分である。 フルクトースを含む加糖飲料の摂取は、生活習慣病リスクを増大させるとともに、酸化ストレスの亢進等を介し、腸管の薬物トランポーターや代謝酵素の発現を誘導すると推測される。すなわち、加糖飲料の摂取は「疾病リスクを増大させ、さらに薬効の低下を招く」可能性が高いと示唆される。本研究では、「児の薬物耐性は母親の加糖飲料摂取に左右されるのか」を明らかにしたい。
|
研究実績の概要 |
母親の食生活に起因する胎児・乳児期の栄養環境は、世代を越えた変化を及ぼし(トランスジェネレーション)、成長後の児の疾病リスクを招く。多くの加糖飲料に果糖ぶどう糖液糖などとして含まれる「フルクトース(果糖)」もトランスジェネレーションが懸念される食品成分である。フルクトースは、エピゲノム制御を介して種々の遺伝子発現制御にも関与すると考えられている。一方、腸管は、トランスポーターや代謝酵素等により、薬物等の代謝吸収を制御しており、その発現変動は薬物耐性に影響すると推測される。以上のことから、加糖飲料の過剰摂取は疾病リスクを増大させるとともに薬効の低下を招く可能性が高いと推測されることから、本研究では、妊娠・授乳期における母親の加糖飲料の習慣的摂取による仔の薬物耐性への影響について検討することを目的とした。 これまでに、習慣的なフルクトースの摂取が薬物代謝関連遺伝子の発現に及ぼす影響についてラットを用いて検討した結果、薬物排泄トランスポーターのmdr1遺伝子の発現変動が認められた。また、DNAメチル化関連遺伝子のmRNA発現変動等が認められており、mdr1遺伝子の発現変動にはエピジェネティックな分子制御機構が関与している可能性が示唆された。加えて、習慣的なフルクトース摂取は、ミトコンドリア遺伝子の発現変動を引き起こすことも明らかとなった。 さらに、母親の習慣的な加糖飲料の摂取による仔の疾病発症リスクへの影響について検討したところ、仔ラットへのトランスジェネレーションが明らかとなった。また、母ラット、もしくは、仔ラット自身の加糖飲料摂取により、複数の薬物代謝関連遺伝子の発現変動が認められ、薬物耐性が生じることが示唆された。加糖飲料摂取によるこれらトランスジェネレーションには、エピゲノム制御が関与している可能性が示唆されたことから、今後はより詳細な解析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響による遅れを取り戻せなかった。また、他教員の退職による急な教育業務の追加が生じたため、計画していた長期飼育を伴う本研究の遂行が難しかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、母親の加糖飲料摂取による薬物耐性への影響について、ラットを用いてエピジェネティクスの視点からメカニズム解析する。なかでもミトコンドリア遺伝子に焦点を当て解析を進める予定である
|