研究課題
若手研究
発酵生産は生育に必要なエネルギーを目的の有用物質の代謝に活用するため、目的物質の生産性が増加するに伴い、生育遅延がしばしば起こる。従って、目的物質の生産性の向上は、細胞の生育と生産性のバランスを上手く維持しながら、これまで進められてきた。しかし、細胞が有するエネルギーの総量が決まっているため、従来の代謝工学を活用した方法には限界がきている。最近、応募者らは、酵母を含む真核生物において、新規なエネルギー代謝である「イオウ呼吸」を発見した。本研究では、酵母におけるイオウ呼吸を巧みに利用することで、生育と生産性を共に増強させるエネルギー代謝機構に基づき、発酵生産を飛躍的に改良する手段を提唱する。
本研究では、活性イオウ分子を発酵生産に応用するために、これまで未解明であった出芽酵母における活性イオウ分子の生成経路の同定および、その経路を破壊した変異体の表現型の探索を行った。先ず、出芽酵母における活性イオウ分子の産生系が哺乳類や細菌類と同様であり、cysteinyl-tRNA synthetase(CARS)によって産生させることを見いだした。さらに、この経路の欠損株は寿命が大幅に短縮することを発見し、活性イオウ分子が寿命の新規制御因子であることが示唆された。
本研究成果は、発酵科学へ応用のみならず、エネルギー代謝異常が関わる各種疾患(加齢、ミトコンドリア病、生活習慣病、がん等)の発症機構の理解と予防・治療法の開発に大きく寄与することが期待される。また、活性イオウ分子の産生系をターゲットにした抗真菌薬の開発も抗菌・真菌薬開発も期待される。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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