研究課題/領域番号 |
19K15814
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
齋藤 隆徳 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (20753479)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 自発休眠 / エピジェネティクス / オミクス解析 / 低温記憶 / 温暖化 / MADS-boxタンパク / マルチオミクス解析 / 細胞培養 |
研究開始時の研究の概要 |
温暖化によって生じる環境変化に適応する農作物の開発は、世界的な食料問題の解決に不可欠である。リンゴを含む落葉果樹の芽は、一定期間の冬の寒さにあうことで萌芽できるようになる性質がある。つまり温暖化で冬が短くなると萌芽ができなくなる可能性がある。 そこで本研究では、短期間の寒さでも萌芽できる新たなリンゴ品種を作ることを目的とし、リンゴの芽がどのように冬の長さを認識しているかについて、萌芽のエネルギー源である脂質に着目して解析を行う。特に冬の長さを認識するシステムを司る脂質の分子種およびその制御に関わる遺伝子を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では植物の細胞における記憶機構を担うとされているクロマチン構造の変化に着目し、リンゴの芽の休眠制御に関わる脂質の分子種およびその代謝に関わる遺伝子を特定することを目指した。休眠誘導期においてリンゴの腋葉芽では、低温やアブシシン酸を受容することで冬を認識し、1) クロマチン構造の変化により脂質代謝関連遺伝子のプロモーターにおいてMADS-box結合配列が表出することで、2) MADS-boxタンパクが表出した結合配列に結合し、3) その結果、ジャスモン酸を含む脂質代謝が変動することで、脂質蓄積を介した冬の長さの記憶と細胞分裂の低下が生じるといった細胞レベルでのモデルが提案できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの果樹の芽の休眠研究は、主に温度ストレス耐性や成長抑制の観点からの議論が中心となっており、エネルギー代謝の観点からの解析例はほとんどなかった。本研究の成果より、脂質代謝が細胞における記憶機構に含まれていることが明らかにできた。すなわち単なる成長停止ではなく、萌芽のエネルギーとしての脂質蓄積を行うための準備期間として、休眠を積極的に利用している可能性を見出した。したがって温暖化を含む気候変動に対応する果樹の育種の現場に対して、これまでとはまったく異なる観点を提示するとともに、関連する遺伝子の情報といった基盤的な知見を提供できるものと考えている。
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