研究課題/領域番号 |
19K15833
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
水ノ江 雄輝 九州大学, 農学研究院, 助教 (50759206)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | シクラメン / 八重咲き / 花器形態形成 / ABCモデル / エピジェネティクス / MAS-box / 配列比較 / メチル化 |
研究開始時の研究の概要 |
八重咲き形質は花きの観賞価値を高める園芸生産上極めて重要な花器形質のひとつである.シクラメンでも萼が弁化するタイプの八重咲きシクラメンがあり,園芸的に高く評価されているが,萼弁化と着色が「安定な完全八重の系統」および「不安定な不完全八重の系統」が存在し,系統間だけでなく個体間にも変異が認められることが課題となっている. 本研究ではこれらの多様な八重咲き形質の変異に着目し,八重咲き形質の遺伝的制御機構,および環境応答性の花器形態形成と色素生合成の後天的な制御機構を明らかにすることで,遺伝的に安定して八重咲き花を形成する園芸品種の作出法確立への寄与を目指す.
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研究成果の概要 |
シクラメンにおける萼弁化は単一の優性遺伝子によって支配されていることが明らかとなった.一重咲きと八重咲きとの交雑後代では,開花時期が遅い花ほど萼の弁化程度も大きくなる傾向が認められ,それら季節変化の程度には系統間差および個体間差が認められた.また,八重咲き花における明瞭な花模様の発現には萼由来花弁の弁化程度が影響しており,十分に発達した萼由来花弁では通常花弁と同様の形質が認められた.一重咲きと八重咲きのMADS-box遺伝子の発現量に違いが認められた一方,MADS-box遺伝子のプロモーター領域の塩基配列において,八重咲きに特徴的な配列は認められず,後天的な遺伝子制御機構の存在が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究より,遺伝的背景だけでなく,後天的な遺伝的制御機構が花器形態変異(八重咲き)の多様性と安定性に関与している可能性が示唆された.八重咲きには本研究で対象とした萼弁化だけでなく,雄蕊弁化,通常花弁数増加といった多様な花器形態変異が存在する.本研究は,他の花器形態変異の遺伝的制御機構を解明するための重要な足掛かりとなるだけでなく,新規八重咲き花を作出する際の貴重な知見となると考えられる.また,日本において最も生産量の多い鉢花であるシクラメンを研究対象としており,学術だけでなく農業生産上の応用が期待できる.
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