研究課題/領域番号 |
19K15849
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
清水 加耶 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (20755681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アリによる被食防衛効果 / アリ植物 / トビナナフシ / 東南アジア熱帯雨林 / アリ防衛 / オオバギ / アリ防衛機能の低下 / 生物種間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
東南アジア・ボルネオ島に分布するオオバギ属のアリ植物は、特定のアリ種との相利的な共生関係を進化させ、強力なアリ防衛を行なって植食者を排除している。しかし、トビナナフシの1種Ortomeria cuprinusは生活史のほとんどをオオバギ樹上で過ごし、その葉を食べ続けることができる。なぜO. cuprinusはアリ防衛によって排除されないのか?本研究は、オオバギと共生するアリが植食者に対して示す攻撃行動を回避するためにトビナナフシが進化させた、既知のものとは全く異なることが予想されるアリ適応戦略を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は東南アジア・ボルネオ島に分布するオオバギ属のアリ植物を寄主特異的に利用するトビナナフシの1種Orthomeria cuprinusがなぜアリに排除されること なくアリ植物を餌や住居として利用できるのかを継続的野外観察と飼育実験により明らかにしようとする実証研究である。 Orthomeria cuprinusが寄主利用するオオバギ種はシリアゲアリとの相利共生関係を構築した植物である。オオバギに住み込むシリアゲアリは、営巣場所である植物に侵入する者を発見すると激しい攻撃を加え除去する。そのようなオオバギ種を恒常的に寄主利用できる植食者は、体表面の匂いをアリや植物に似せる化学擬態を行ってアリの攻撃を免れているシジミチョウ幼虫などを除きほとんどいない。Orthomeria cuprinusによるアリへの適応は、好蟻性昆虫に多く見られる化学擬態とは全く異なる方法によるものと予想されている。 研究初年度である2019年度は研究体制の基盤整備として、マレーシア・サラワク州のランビル・ヒル ズ国立公園に調査区を置き、Orthomeria cuprinusが寄主利用するオオバギ2種の若木120株を個体識別して3ヶ月おきに各株の生育状態とO. cuprinus発生消長を 記録する個体群追跡調査を開始した。2年目以降は感染症拡大防止のための渡航制限により計画していた現地調査を行うことができていなかった。その間、2019 年以前の予備調査で得られている野外観察データ・飼育記録を統合し、解析を進めた。2022年度以降は行動制限が緩和されたため野外調査を再開したが、森林環境の変化などにより、計画していた個体群の追跡は難しくなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症拡大防止のための海外渡航・活動制限により、ボルネオ島での野外調査は大幅な計画変更が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度中に野外調査を3回実施し、蓄積されたデータをもとに論文執筆を行う。
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