研究課題/領域番号 |
19K15855
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
長峯 啓佑 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (20817548)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 昆虫 / 共生微生物 / ウイルス / オス殺し / ハスモンヨトウ / 昆虫ウイルス / 培養細胞 / 潜在ウイルス / 生殖操作 / チョウ目 / 全メス化 / ウイルス機能解析 / 究極要因 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫では子が全てメスになる現象(全メス現象)が多く知られている.ほとんどの場合,その原因は昆虫に寄生する細菌によるものだが,近年,原因がウイルスだと疑われる事例が報告されている.しかし,こうしたウイルスが単離・同定された例はない.私たちはハスモンヨトウからウイルスが原因と思われる全メス現象を発見した.本研究では,全メス系統と通常系統を同じケースで飼育することで,ウイルスがどのように伝搬されるかを追跡し,ウイルスが昆虫の性を操作することの進化的意味を探求する.また,全メス系統からウイルスを単離し,ウイルスのゲノムを解読し,遺伝子を組換えることで,全メス現象を引き起こす遺伝子の特定に挑戦する.
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研究成果の概要 |
昆虫の細胞内には様々な共生細菌が存在し,いくつかの細菌は宿主である昆虫の性を操作して子孫をメスだけにすることが知られている(全メス化). 本課題ではハスモンヨトウで見つかった全メス現象を解析することで,全メス化の原因因子が共生細菌ではなくウイルス(全メスウイルス)であることを特定し,全メス化のメカニズムが宿主のオスだけを殺す「オス殺し」であることを明らかにした.また,全メスウイルスのゲノム解析の結果5つの分節からなるRNAウイルスであることが分かった.また,系統解析の結果から,全メスウイルスは主に植物ウイルスが属するTolivirales目に近縁であることが明らかになった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ウイルスゲノムは多様性に富むため,かつては新規ウイルスの発見・解析に多大な労力と専門性が要求された.近年,次世代シーケンス技術の発展に伴い,ウイルスの探索やゲノム解析が容易になり,昆虫の潜在ウイルスが無数に見つかるようになった.しかしながら,新規ウイルスの生物学的・ウイルス学的解析には依然として定石の解析は確立されておらず,ケースバイケースな対応が必要になってくる.今後,全メスウイルスのような性操作ウイルスも多く発見されることが予想される.本課題で築いたウイルスおよび宿主に関する研究基盤が,さまざまな新規宿主性操作ウイルスの発見,性操作の至近要因・究極要因の解明に貢献できると期待している.
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