研究課題/領域番号 |
19K15859
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
安藤 温子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (70761063)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 種子散布 / 鳥類 / 島嶼生物学 / 島間移動 / 海洋島 / 移動 / 結実季節 / カラスバト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、伊豆諸島八丈島と八丈小島の間を頻繁に移動するカラスバトの糞を採取し、それに含まれる種子の産地を安定同位体分析によって特定することにより、鳥類による島間種子散布を直接的に検出する。そして、植物の遺伝構造解析により、島間種子散布が植物の集団構造に与える長期的影響を評価する。これにより、島間種子散布を行う鳥類の保全価値を理解すると同時に、島間における外来生物の分布拡大や遺伝子攪乱のリスクを評価し、適切な対策を講じる上で重要な基礎情報を得る。
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研究成果の概要 |
隔離された島嶼環境では鳥類の飛翔能力が低下することが知られている。しかし、伊豆諸島と小笠原諸島に生息するカラスバトの集団遺伝構造と翼形態を比較したところ、より隔離された小笠原諸島において、伊豆諸島よりも高い飛翔能力が維持されていることが示された。実際にカラスバトは生息地の島間を移動しており、島間移動のパターンが生息地の食物利用や繁殖季節と関連することから、生息地の多様な島嶼環境に適応した行動であると推察される。また、果実食であるカラスバトが島間を移動することにより、種子の長距離散布が行われることが示され、島間移動が島嶼環境の生態系の構成において重要な役割を果たすことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
島嶼の生物を対象とするこれまでの研究では、本土から隔離されることに伴う適応進化や種分化が扱われることが多かった。しかし本研究では、列島という地理的構造に着目し、本土から隔離された環境であっても、列島内の多様な島々を移動する能力を維持するという、鳥類の新しい島嶼適応の形を見出した。さらに、鳥類の島間移動が植物の移動分散に貢献し、島嶼における生態系の構成上、重要な役割を果たすことを明らかにした。これらの成果は、島嶼生物学の枠組みを捉え直すという点で学術的意義が大きく、同時に様々な島嶼環境から成る日本の地理的特性を活かした研究発展が期待される。
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