研究課題/領域番号 |
19K15865
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 関西学院大学 (2023) 大阪大学 (2019-2022) |
研究代表者 |
松林 志保 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (60804804)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 保全生態学 / 鳥類観測 / 生物音響 / リモートセンシング / 鳥類自動観測 / 鳥類行動 / 定位技術 / 生物多様性 / 景観生態学 / 希少種保全 / 夜行性鳥類 / マイクロフォンアレイ / ロボット聴覚 / 外来種 / 歌行動 / 歌コミュニケーション / 音景観 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マイクロフォンアレイとロボット聴覚を用いて自動解析する野鳥の歌から、誰がいつどこでどの歌を鳴くか、さらに生息地空間(ランドスケープ)と歌を鳴き交わす音空間(サウンドスケープ)においてなぜその歌コミュニケーションが行われるかを個体間の相互作用から明らかにし、その知見を生態理解へ応用することを目的とする。具体的には(1)多様な自然環境下における夜行性鳥類のモニタリング、(2)歌空間・生息空間をめぐる歌を介した在来鳥種と外来鳥種の個体間相互作用の解析、(3)レパートリー数や複雑さで測る歌の質、歌で守る縄張りの質、繁殖成功率で測るオスの質の関連評価という3つの課題に取り組む。
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研究実績の概要 |
当該年度は、ロボット聴覚と音源の到来方向を推定する定位技術を活用した野鳥の歌コミュニケーション観測への応用に関する研究課題の内、特に視覚での観測が困難な夜行性、もしくは薄明薄暮性の希少種ヒクイナと絶滅危惧種サンカノゴイを対象に録音観測実験を実施した。それぞれの種に関しで、各地の研究協力者からの助力を得て観測に成功した。観測成果として、複数のヒクイナの繁殖ペアが観測地である湿地内で音声を介した縄張り争いをする様子を2次元上で可視化することに成功した。また、サンカノゴイの複数の繁殖オス個体が鳴く様子の観測も実現した。絶滅危惧種であり、かつ観測困難種であるサンカノゴイの野生個体の生息を音声に基づく受動観測で実現したことは、今後の同種の生態理解と保全の推進上、学術的意義は大きいと考えられる。 これらの成果の一部は、アメリカ鳥類学会とカナダ鳥類学会の合同会議であるAOS & SOC-SCO 2023にてポスター発表で報告した。学会会場では、同様の指向性マイクを活用した鳥類行動観測の実績をもつWindsor大学の研究グループから技術的な課題や、新規分析手法、当該技術が活用可能な観測鳥類等について有益なコメントを得た。今後はこれらの助言を反映させた研究成果をまとめ、生態系、ロボット聴覚技術系の学術誌に投稿するとともに、観測対象種の生息地を管理する団体などとの情報共有を進め研究成果の社会実装に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、当初別の海外調査地で計画していた歌と繁殖成功率で測る雄の質、縄張りの質の関連評価に関する調査が実現しなかった。その他国内調査地でも調査地の植生や管理状況が変わり変更を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
繁殖成功率計測に関する部分に対する計画の変更は余儀なくされたが、歌を介した音声コミュニケーションに絞りこれまでの研究の進捗を国際誌に投稿する。
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