研究課題/領域番号 |
19K15882
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山岸 祐介 北海道大学, 農学研究院, 助教 (80770247)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 仮道管 / 管状要素 / 二次木部細胞 / Picea abies / オーキシン / 針葉樹 / 植物組織培養 / 細胞骨格 / ヨーロッパトウヒ / 二次壁 |
研究開始時の研究の概要 |
木材などの木質バイオマスの循環型有効利用は、再生可能な資源エネルギーの供給に重要である。針葉樹の樹冠の90%を占める仮道管の形成機構の理解は資源利用の観点から重要であるが、未だ不明な点が多く、形成過程のより詳細な解析が必要である。そこで本研究では針葉樹培養細胞から仮道管を直接分化誘導する新たな誘導系を開発し、仮道管細胞壁の形成過程を解析する。さらに、針葉樹培養細胞への蛍光タンパク遺伝子の導入を行い、細胞壁の堆積制御に関わるとされる細胞骨格の挙動の動的解析を行う。細胞骨格の経時的な局在配向の変化の解析から、仮道管細胞壁における細胞骨格を中心とした形成制御機構を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
針葉樹の樹幹の90%以上は仮道管とよばれる細胞が占め、仮道管の形態や細胞壁構造が針葉樹材の材質に大きく影響する。しかしながら、仮道管の分化機構や細胞壁形成機構は十分に明らかになっていない。そこで仮道管の細胞壁形成過程を解析するモデルとして、ヨーロッパトウヒの培養細胞を仮道管へと分化誘導する実験系の開発に取り組んだ。培養細胞が安定的に分裂・増殖する培養条件と、高い頻度で細胞壁が肥厚した細胞に分化する培養条件をそれぞれ明らかにした。細胞壁が肥厚した細胞では、仮道管にみられる有縁壁孔に非常に類似した構造が観察された。以上の結果より、培養細胞から仮道管様の細胞を誘導する実験系が確立されたといえる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
木材などの木質バイオマスの循環型有効利用は、再生可能な資源エネルギーの供給に重要である。針葉樹材においては、仮道管の形態や細胞壁構造が針葉樹の材質に大きく影響する。仮道管の形成は樹幹の内部で起こるため、一つの生細胞の連続的な細胞壁の形成過程を解析することはできない。 今回開発された培養細胞を用いたモデル誘導系は、仮道管様の細胞の形成過程の連続的な解析を可能にしており、従来の誘導系と比較して誘導率や誘導方法の単純さ等に利点がある。本成果の活用によって仮道管の形成機構に関する情報の蓄積が進むことで、将来的な針葉樹材の材質制御を目的とした森林施業や育種選抜等の応用が期待できる。
|