研究課題/領域番号 |
19K15885
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 京都大学 (2023) 名古屋大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
松尾 美幸 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (70631597)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 経年変化 / 促進劣化処理 / 樹種多様性 / 寿命予測 / 熱処理 / 樹種依存性 / 湿熱処理 |
研究開始時の研究の概要 |
木質文化財を適切に保存・修復するためには,部材の材質が経年によってどのように変化するかを理解することが重要である.本研究では,国内外の建築や工芸に用いられる代表的な樹種について,湿熱処理による経年変化の再現という切り口から,経年変化の樹種依存性を定量的に明らかにする.さらに,木材の寿命予測や文化財修復のための素材の調製に役立つ「経年変化インデックス」の構築を目指す.
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研究成果の概要 |
木材は適切な管理がされると長期間使用可能だが、樹種ごとの経年変化には差があり、これを定量化する必要がある。本研究では、国内外で文化財に用いられる代表的な10樹種を対象に様々な処理温度で熱処理を施し、その物性変化を測定した。質量減少や寸法変化、平衡含水率変化、色変化のデータから、見かけの活性化エネルギーを算出した。これにより、常温での経年変化の予測モデルを構築し、樹種ごとの経年変化インデックスを作成した。結果として、物性変化には大きな樹種差があることが確認された。また、反応速度の違いが見かけの活性化エネルギーとして定量化され、常温での変化予測の重要性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、木材の経年変化を熱による促進処理により再現し、樹種ごとの特性を定量化した点にある。特に、見かけの活性化エネルギーを算出し、経年変化の予測モデルを構築したことで、残存物性の推測や将来にわたる物性変化を予測する方法を確立した。また、これまで個別で単発的に論じられることが多かった熱処理による物性変化の樹種差についても、網羅的な知見を与えるものである。社会的意義としては、本予測モデルを木質科学以外の専門家にも利用可能な形で広く公開することで、木質文化財の保存・修復に役立てることが考えられる。将来的には、古材から得られる物性情報と突き合わせることで予測を更に精緻化することができる。
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