研究課題/領域番号 |
19K15893
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢萩 拓也 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (50808029)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 深海熱水噴出域 / 化学合成生態系 / 底生生物 / 浮遊幼生 / 海洋表層 / 深海 / 腹足動物 / 海洋分散 / 生物地理 / 熱水噴出孔 / 分析化学 / 形態観察 / 集団遺伝学 / 生態 / 初期生態 / 深海化学合成生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
深海熱水噴出孔周辺には、化学合成生産に支えられる特異な底生生物群集が存在する。これら熱水性種が個体群を維持するためには、離れ小島のように分布する熱水噴出域間を移動する必要がある。底生動物は成体の移動能力が低いため、浮遊幼生期の海洋分散が地理的分布の決定ならびに進化過程に重要な役割を果たす。しかしながら、広大な海洋において、1 mmに満たない幼生の分散過程は未解明な点が多い。本研究では、海底から表層圏を範囲に、熱水域固有動物幼生の生態、行動、鉛直・水平分布の包括的な調査を行うことで、分散機構を体系的に明らかにし、幼生分散が生物群集の成立、生態系の機能および物質循環に果たす役割を評価する。
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研究成果の概要 |
深海底に点在する熱水噴出域には、化学合成生産に支えられる特異な底生生物群集が存在する。これら生物は、浮遊幼生期の海洋分散によって個体群間の交流を維持していると考えられているが、1 mmに満たない幼生の分散過程は未解明な点が多い。本研究では、海底から表層圏を範囲に、熱水域固有動物幼生の生態、行動、鉛直・水平分布の包括的な調査を行い、腹足類複数種における、海底から海洋表層への幼生鉛直移動および表層流を用いた長期の分散生態を明らかとした。同幼生行動は熱水噴出域間の長距離移動を可能とするとともに、光合成生態系および化学合成生態系間の物質循環において興味深い生態学的知見と考える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、世界の海洋底、特にプレート拡大軸や沈み込み帯付近に形成される熱水噴出域生態系を対象として、地理的分布の規定、生物群集の成立や機能および海洋物質循環に関する新たな知見を得た。深海熱水噴出域に生息する底生生物群集は光合成基礎生産に依存せず、海洋生態系において特異な位置付けにあるとみなせるが、本研究成果は、熱水域固有動物の複数種について、化学合成生態系および光合成生態系をダイナミックに行き来する生活史を明らかとした。これら生物学的知見は、海底熱水鉱床の開発に伴う生物への環境影響が懸念されている昨今において、絶滅危惧種評価や効果的な海洋保護区選定にも貢献するものである。
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