研究課題/領域番号 |
19K15897
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金 禧珍 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (10823437)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 付着生物幼生 / 光波長 / 光強度 / 眼点 / 走光性 / 付着行動 / 光照射 / 着底メカニズム / 付着動物 / 付着期幼生 / 防汚システム / 放射照度 / 光走性 / 付着制御 / 付着防止システム / 採苗技術 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋付着動物の付着機構に関する研究は、汚損生物の付着防止システムの構築や有用種の採苗技術の効率化に対して、基礎となる。本研究では、海洋付着動物の付着期幼生は光を受容する眼点を持つことに着目して、海洋付着動物(フジツボ2種類とマガキ)の付着行動における光の波長と強さの影響を調べる。① 光の波長と強さの異なる条件下で付着行動を観察し、光の認識と付着行動の発現との関係を明らかにする。次に、② 付着期幼生の眼点の光受容感度(吸光度)を把握するとともに ③ 各光条件下での付着関連遺伝子の発現を解析することにより、付着行動における光の作用機構を解明する。
|
研究成果の概要 |
付着生物の多くは、幼生期に光センサーである眼点を持つ特徴から、幼生に与える光環境の影響を調べた。マガキは付着期のペディベリジャー幼生を、シロスジフジツボはすべての成長段階において眼点を持つためノープリウスI~II、ノープリウスVI、キプリスを対象に眼点の特徴と光反応を調査した。マガキのペディベリジャー幼生が持つ眼点は赤色光を高い値で吸収し、光強度と関係なく赤色光の照射下で正の走光性と高い付着率を示した。シロスジフジツボは、初期成長段階では明確な走光性のパターンが見られなかったが、後期成長段階の幼生は3原色の内、高い眼点吸光度が見られた青色光で正の走光性を示す個体の割合と付着率が高かった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、付着生物が幼生期に持つ眼点の役割が明らかになり、光は岩盤潮間帯で観察される付着生物の帯状分布に影響を与える物理要因の一つであることが証明された。得られた結果は、マガキのような水産有用種に対しては、環境悪化による採苗率低減を解決する採苗記述改良に応用できる。また、フジツボのような汚損生物に対しては、付着防止技術(防汚システム)開発にも寄与する。現在、汚損生物の付着防止のため用いられている化学塗料は、広い範囲で悪影響を及ぼすため、その使用を制限している。本研究で得られた付着を抑制する光条件を用いることにより環境にやさしい防汚システムを構築することができる。
|