研究課題/領域番号 |
19K15899
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 石巻専修大学 (2022) 岩手医科大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
阿部 博和 石巻専修大学, 理工学部, 准教授 (10784192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 海産環形動物 / 貝類養殖 / スピオ科 / 穿孔性多毛類 / 分子系統 / 発現遺伝子 / ミトゲノム / 18S rRNA / 28S rRNA / 16S rRNA / 遺伝子配置 / 嗅覚受容体 / 酸分泌 / RNA-seq |
研究開始時の研究の概要 |
貝類養殖の害虫である穿孔性多毛類は,幼生が宿主となる貝類に選択的に着底し,貝殻に穿孔して内部に侵入するという興味深い共生生態を示すため,共生生活の確立(宿主への幼生の誘引)や宿主への生理的適応(貝殻への穿孔)という観点から進化生物学的に興味深い研究材料である。本研究では,網羅的発現遺伝子解析により,宿主からの誘引物質を認識するための幼生の嗅覚受容体の特定と,穿孔(酸分泌)の分子メカニズムの解明を行う。同時に,分子系統解析により穿孔性の獲得に至る系統進化のプロセスを推定することで,誘引物質に対する嗅覚受容体や酸分泌メカニズムの起源とその進化プロセスを探る。
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研究成果の概要 |
本研究は,貝類養殖における害虫(穿孔性)多毛類における「宿主に対する幼生の誘引・着底」と「穿孔」のメカニズムの解明と,そのような仕組みが発達してきた「進化的プロセス」の理解を目指すものであり,①分子系統解析によるスピオ科多毛類の自由生活種と共生性・穿孔性種15属62種の系統関係の推定,②新規共生系を示すスピオ科多毛類の2新種の記載およびこれまで系統的位置が不明なままであったAtherospio属の1新種の記載と系統的位置の推定,③スピオ科多毛類14属41種の浮遊幼生の形態の記載,④スピオ科多毛類3属4種を対象にした自由生活種と穿孔性種における成体と幼生の発現遺伝子の種間比較を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
厳密に宿主を認識して着底する共生性の海産無脊椎動物では,浮遊幼生の嗅覚受容体が宿主認識に重要な役割を果たしている可能性がある。本研究では,「幼生期の誘引物質に対する嗅覚受容体の変化が着底基質選択性や宿主の転換を駆動する」という仮説のもと,スピオ科多毛類の生息基質や宿主の変化プロセスに合わせた嗅覚受容体の分子的変化を追うことで,基質選択性や宿主の転換が起こる仕組みを解明することを目指したものである。このアイデアは,海産無脊椎動物における着底基質選択や宿主転換を統一的に説明できるモデルとして広く波及効果が期待でき,海洋生物の種分化や多様化のメカニズムの理解につながる可能性を秘めているといえる。
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