研究課題/領域番号 |
19K15904
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
鈴木 重勝 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (10785108)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 微生物相互作用 / 藻類 / 鞭毛 / 自由生活性バクテリア / 藻類-バクテリア相互作用 / 難無菌化藻類 / 微生物間相互作用 / 赤潮形成 |
研究開始時の研究の概要 |
藻類の多様な系統において、バクテリアがその増殖に影響を与えていることが示唆されている。この藻類-自由生活性バクテリア相互関係は藻類の群集動態に大きな影響を与えるため、水圏生態系の理解や藻類を用いた物質生産を行う上で重要である。本研究では、藻類とバクテリアとの間の代謝産物のやり取りに注目し、それらの相互作用を明らかとする。特に、様々な系統の藻類の中から、バクテリアの共在がその増殖に必須である「難無菌化藻類」を探索し解析を行うことで、藻類-バクテリア相互関係の全体像や、真核生物全体の進化や群集動態の変化における役割を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度見出したバクテリアによるNIES-2893株の鞭毛誘導機構について、その一般性とメカニズムを明らかとすることを主目的とし、研究を行なった。新たに5種の緑藻について、バクテリアによる遊泳細胞誘導を試験したところ、3種で同様に誘導可能であることが示された。誘導不能であった2種は緑藻の中でも細胞サイズが小さく、サイズによる制約があることが示唆された。また、バクテリアによる遊泳細胞の誘導機構は緑色植物の初期分岐系統に広く保存されていることが明らかとなった。 次に、バクテリアの種特異性を明らかとするためにNIES-2893とNIES-2582のバクテリアの交換実験を行なった。それぞれのバクテリアはアルファプロテオバクテリア綱とガンマプロテオバクテリア綱であり系統的に異なるが、両者ともに遊泳細胞誘導能を有していた。従って強い種特異性はないことがわかった。 さらに、遊泳細胞誘導の分子メカニズムを明らかとするために、NIES-2893の共存バクテリアPCB-4株に対して、エチルメチルスルホン酸により変異誘導を行なった。960コロニーを単離し、NIES-2893株と混合し遊泳細胞の誘導を観察したところ、遊泳細胞を誘導できない5変異株を得ることができた。今後、この変異株について詳細な解析を進める予定である。 本研究全体をまとめると、難無菌化渦鞭毛藻と自由生活性バクテリアとの相互作用の解析から、自由生活性バクテリアと藻類との間に代謝産物を介した強い結びつきがあることが明らかにできた。また、自由生活性バクテリアが単細胞性藻類の形態形成に影響を与えることを初めて示すことができた。これらの知見は、水環境解析において、藻類とバクテリアの動体をトータルに解析する重要性を示している。
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