研究課題/領域番号 |
19K15932
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中本 英里 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 研究員 (20824303)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 農福連携 / 障害者雇用 / 作業環境整備 / 業務分担 / GAP / ユニバーサルデザイン / 作業工程細分化 / チェックリスト / ユニバーサル農業 / 知的障害者雇用 / 農業経営 / 就労環境整備 / 労務管理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、農業分野における知的障害者雇用のための有効な農業経営モデルの提示を試みる。方法として、まず予備調査として、文献調査・現地調査を行い、①福祉分野の視点、②農作業の視点、③他産業の視点から、知的障害者の雇用現場で求められる就労環境整備要件を抽出し、障害者雇用の現場を評価するための「チェックリスト」を作成する。次に、作成した「チェックリスト」を用い、複数の先進事例を対象に事例分析を行い、どのような就労環境で、どのような経営成果が上がっているかを明らかにする。最後に、事例分析の結果を基に、事業収益の向上に資する障害者雇用の条件、就労環境を含めた有効な農業経営モデルの提示を試みる。
|
研究実績の概要 |
本研究では、「農福連携」の取組実態を調査し、障害者の労働の質を向上させるための条件と、障害者雇用によってもたらされる営農現場への影響を明らかにすることを目的とする。研究計画は、(1)文献調査と現地調査による「予備調査」と、(2)予備調査の結果によって得られた分析枠組みの知見を用いて実施する「事例分析」で構成される。 これまでの調査結果から、農業分野における障害者の作業環境整備の具体的な取組として、ユニバーサルデザイン化とGAP(農業生産工程管理)が有効であることが明らかとなっている。ユニバーサルデザイン化やGAPは、営農における作業工程の細分化に寄与し、作業の切出しや分業化は、障害者の業務分担の拡大、作業体制の改善、農業経営者の栽培作業時間の減少等の波及的効果をもたらすことが期待されている。2022年度は、昨年実施した、就労継続支援事業所(就労系障害福祉サービス)への追加調査を基に、営農(園芸経営)における業務分担の実態と課題の詳細を把握し、知的障害者の農業分野における一般就労の課題を整理した。農業分野における障害者の作業実態として、個人の知的能力、疾患、自閉的特徴による違いがあると考えられ、これらを考慮した事例分析を行うための作業分析も必要であることが明らかとなった。 調査結果の一部は、農福連携関連セミナー等において話題提供するとともに、啓発普及のための事例集作成等に協力し公表する機会を得た。また、障害者の作業実態を把握するための作業分析を行い、学会やシンポジウムにおいて口頭報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、農業分野における知的障害者の一般就労現場を評価するためのチェック項目の作成と、その後の「事例分析」に必要な枠組みを検討し、障害者の作業実態を把握するための作業分析を行った。しかし、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症予防対策により出張が制限され、補足調査等による情報収集、事例分析にかかる現地調査が十分遂行できなかった。特に、公共交通機関の長時間利用が必須となる遠方地域への訪問が困難であったため、調査範囲が近隣地域に限定され、優良事例等への現地訪問ができなかった。一方で、リモート形式により、これまで蓄積した研究成果を発信する機会が得られ、情報交流の機会も得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度作成した「農業分野における知的障害者の一般就労現場を評価するためのチェック項目(チェックリスト)」を用いて引き続き事例分析を行い、研究成果をとりまとめる。 事例分析は、複数の事例を対象に、経営概要、労務管理の実態、経営成果(労働生産性、収益性、障害者賃金、障害者雇用率、雇用継続年数等)を把握し、知的障害者の就労環境の実態と経営成果との関連を整理する。 当初の計画に比べ遅れが生じているが、新型コロナウイルス感染症問題に収束の兆しも見えることから、昨年度実施できなかった現地訪問による補足調査等を行い、本研究を完遂させる。
|