研究課題/領域番号 |
19K15956
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
立岡 美夏子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), 特任研究員 (70835967)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | セルラーゼ / 深海 |
研究開始時の研究の概要 |
深海では浅海から沈降する物質の中で分解されずに残った「難分解物」をエネルギー源にした生態系が広がっていると考えられているが、実際にどのような有機物が分解を受けているのかは分かっていない。多糖であるセルロースは植物や藻類、ホヤなどによって豊富に生産されることに加え、高い結晶性を持つことから、深海までたどり着く有機物の多くを占めることが推測される。しかしながら、深海においてセルロース分解を担う微生物についてはほとんど知られていない。そこで本研究では、独自のスクリーニング手法を用いて深海からセルロース分解菌を見出し、生産する糖質関連酵素を精査することでそのセルロース分解メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
深海では浅海から沈降する有機物をエネルギー源とした生態系が広がっていると考えられているが、深海における有機物の生分解については知見がほとんど得られていない。セルロースは植物や藻類、ホヤなどによって豊富に生産されることに加えて高い結晶性を持つことから、深海までたどり着く有機物の多くを占めることが推測される。そこで本研究では、独自のスクリーニング手法を用いて深海からセルロース分解菌を分離することで、深海由来微生物の保有する糖質関連酵素及びそのセルロース分解メカニズムを明らかにすることとした。 本年度は、これまでの成果を取りまとめ、セルロース分解活性の高感度検出法に関する論文としてiScience誌に発表し、さらに手法をプロトコル化してSTARProtocolsに発表した。併せて、深海由来セルロース分解菌GE09株の分類学的論文をIJSEM誌で発表した。 また、本年度は深海由来の複数の分離株が有する酵素の違いに着目して研究を進めた結果、特に新規性の高いCR0109株が、エキソ型セルラーゼを持たないにも関わらず、結晶性セルロースを効率的に分解できることを明らかとした。本菌の近縁種においては、セルロース分解菌に一般的に存在する酵素群ではなく、多様なタンパク質を用いて分解反応を行っていることが示唆されている。今後、詳細な発現解析と酵素の機能解析を進めて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、これまでの成果を英語論文3報と招待講演で発表し、主に成果発表で多くの進展があった。 また、極めて新規性の高い深海由来セルロース分解菌CR0109株に着目して研究を進めた結果、本菌の糖の資化性やゲノム上の酵素遺伝子の極めて稀な性質を明らかとすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
この度見出した新規性の高い分離株CR0109株について、糖類の資化性試験の結果、セルロース以外の糖類の資化は確認できなかったが、分解性については判断可能な実験系を組むことができていない。引き続き糖の分解性に関する検討を行ってゲノムにコードされた遺伝子とも比較を行い、本菌がターゲットとする炭素源を明らかにしていく予定である。また酵素の発現量解析について今後データの取得を進め、遺伝子予測等ではヒットしない新規酵素遺伝子についても解析を行っていく予定である。以上の実験から、保有するセルロース分解関連酵素の特性が異なる深海由来微生物が、それぞれどのようなメカニズムでセルロース分解を行っているのか明らかにする。さらに、新規性の高い酵素についてはタンパク質発現を試み、機能解析を行う。
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