研究課題/領域番号 |
19K15976
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木之下 怜平 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (30761150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | イヌ尿路上皮癌 / BRAF阻害薬 / ダブラフェニブ / 犬尿路上皮がん / BRAF遺伝子変異 / 尿路上皮癌 / イヌ尿路上皮がん / BRAF阻害剤 / 犬尿路上皮癌 / 分子標的治療 / RNA-Seq / 抗炎症療法 |
研究開始時の研究の概要 |
イヌ尿路上皮がん(UC)は非ステロイド性抗炎症薬に反応を示す唯一のがんであるが、耐性の発現やその他の治療の選択肢に乏しく、予後の改善のために新たな治療法の確立が求められている。申請者らは、UCが炎症の促進にかかわるプロスタグランジンE2を大量に産生し、UCに高率に認められるBRAF遺伝子変異がそれを制御することを明らかにしてきた。そこで本研究では、この変異を標的にすることでUCの炎症環境を制御できるのではないかと考え、BRAF阻害剤を用いた新たながん治療法の確立を目指す。同時に尿中のUC細胞の遺伝子発現を解析することで、生体におけるBRAF阻害が炎症環境などにもたらす影響を明らかにしたい。
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研究成果の概要 |
本研究は、イヌ尿路上皮がん(UC)におけるBRAF阻害剤を用いた新たながん治療法の確立と、尿中のUC細胞の遺伝子発現解析を目的とした。 北海道大学附属動物病院に来院したBRAF遺伝子変異陽性UCの犬7症例に対してダブラフェニブ(5mg/kg/日)の投与を行った。臨床的有効性はPR1例、SD5例、PD1例であり、多くの症例で臨床上の改善が得られた。4例で副作用と思われる皮膚腫瘤を認めたが、投薬減量または中止が必要な症例はいなかった。これらの結果より、ダブラフェニブがUCに対して有用である可能性が示唆された。また、臨床試験前および終了時に採取した尿中の腫瘍細胞からRNAの抽出を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
イヌ尿路上皮がん(UC)は、内科療法への反応率の低さや耐性の発現などにより予後不良の疾患とされており、新たな治療法の確立が求められている。BRAF阻害薬であるダブラフェニブを担癌犬に投与した報告はなくその有用性は不明であったが、本研究によりダブラフェニブのイヌにおける安全性、イヌUCに対する有用性が示され、イヌでもヒトと同様の副作用がみられることが明らかとなった。さらなる調査によりイヌUCの新たな治療法となることが期待される。また、イヌUCは疫学や臨床的特徴が類似していることからヒトUCのモデルとして用いられる。そのため、本研究結果は一部のヒトUCに対しても有益な結果となりうる。
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