研究課題/領域番号 |
19K15991
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森下 啓太郎 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (30637046)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 非再生性貧血 / ミニチュア・ダックスフンド / 脾臓 / 補体 / TGF-β |
研究開始時の研究の概要 |
本邦のミニチュア・ダックスフンドには、原因不明の非再生性貧血が好発する。従来、貧血の原因は分化後期の赤芽球に対する免疫反応と理解されてきたが、罹患犬は免疫抑制療法への反応が極めて乏しいことから、その病態が自己免疫反応のみに規定されるとは考えにくい。本研究では、貧血の原因をTGF-βシグナル異常に起因する造血障害としてとらえ、病態解明を目指す。脾臓摘出によって造血能が劇的に回復するという知見を基に、脾臓におけるTGF-βの過剰産生の有無、および骨髄におけるTGF-β制御因子の異常発現の有無を遺伝子レベル、タンパク質レベルで明らかにする。
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研究成果の概要 |
本邦のミニチュア・ダックスフンドには、原因不明の非再生性貧血が好発する。本研究では脾臓摘出によって造血能が劇的に回復するという知見を基に、罹患犬脾臓および脾摘前後の血清を用いたマルチオミクス解析を行った。脾臓では1,385の発現変動遺伝子が検出され、S100A12, S100A8, S100A9など707遺伝子の発現上昇が明らかとなった。免疫組織化学により、罹患犬脾臓ではS100A8/A9蛋白質の発現量が有意に高いことが確認された。血清プロテオーム解析では22種の蛋白質発現に有意差が認められ、脾摘前のレクチン経路を主とした補体活性化が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から、罹患犬脾臓におけるS100A8/A9蛋白質の発現増加が補体レクチン経路を活性化し、赤芽球系細胞のオプソニン化によって非再生性貧血を発症するという新たな仮説が導かれた。本疾患の病態を分子レベルで検証した報告は限られており、研究成果は補体関連疾患という既知の理解とは異なる疾患概念の可能性を示した。市場には補体関連疾患に対する種々の補体標的薬が販売されていることから、本研究の成果が病態解明の足掛かりとなり、補体標的薬による新たな治療戦略の開発につながり得る。
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