研究課題/領域番号 |
19K15994
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
渡邉 謙一 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10761702)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 褐毛和種牛 / SOD1 / 神経変性疾患 / 封入体 / 褐毛和種 / ミトコンドリア / 細胞質内封入体 |
研究開始時の研究の概要 |
褐毛和種牛の封入体病(IBD)は、異常興奮や振戦などの神経症状と、脳幹部の神経細胞における封入体形成を特徴とする原因不明の致死性神経変性疾患である。16症例のIBDについて組織検索を実施した結果、神経細胞内封入体は活性酸素分解酵素であるsuperoxide dismutase 1 (SOD1) とミトコンドリアの凝集物からなることが明らかになった。家系調査と発生状況から、IBDは褐毛和種牛に特有の遺伝性疾患である可能性が高く、背景にsod1の変異が疑われる。本研究ではIBDの病態解明と原因となるsod1変異の同定、さらには遺伝子診断法の確立を目的とする。
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研究成果の概要 |
過去のIBD8症例、同地域で飼養される健常な褐毛和種牛208頭について病理組織学的検索を実施したところ、健常牛の約3割の脳にもIBD様の封入体が認められた。IBDで認められる封入体はSOD1の免疫染色に陽性であったが、これらの個体にSOD1遺伝子変異は認められなかった。封入体を有する健常牛の脳とIBD発症牛の脳とに組織学的な差異はほぼ認められなかったが、RNA-seqにより封入体を有する健常牛ではミトコンドリア関連分子の有意な発現上昇が認められたことから、これらの封入体はミトコンドリアの異常ないしSOD1の異常凝集による病的意義のある変化であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
IBDの病理像はSOD1の凝集などヒトのALSとの共通点が多く、発現解析の結果などは関連疾患の研究にも還元可能な知見であると言える。また、封入体形成がみとめられた健常牛については発症以前の段階あるいは無症状の保因牛であるとも考えられることから、神経変性疾患の病態発生を考える上で貴重なサンプルと言える。IBDの認知度は低く、発生地域もごく限られているが、過去には死亡例なども発生しており、貴重な和牛の系統である褐毛和種牛の血統維持を考える上でIBDのさらなる病態解明が望まれる。
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